糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

炭水化物のアイデンティティは何だろう

前回の続きです。

炭水化物は、これまで話してきましたが、「糖質+食物繊維」の事です。

その解説として、


脂質は摂り過ぎると肥満につながりますが、少量でも多くのエネルギーを得ることができる効率の良いエネルギー源です(1gあたり9kcal)。
炭水化物は、糖質と食物繊維の2つに分けられます。そのうち、カラダを動かす(運動する)エネルギー源となるのは糖質で、肝臓と筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。
また、糖は脳の主要なエネルギーになります。
一方、食物繊維は第六の栄養素とも呼ばれ、ヒトの消化酵素で分解されない食物中の難消化性成分であり、おなかの善玉菌を増やし腸内細菌のバランスを整えるなどカラダに有益な成分です。
脂質は肉類の脂身、食用油脂類、糖質は、穀類、イモ類、砂糖類、果物類に多く含まれます。

 


炭水化物はエネルギーになる栄養素の中で最も重要なものです。
日本人の一般的な食事では摂取エネルギーの60%前後を炭水化物で得ているといわれています。
糖質はエネルギーとして使われる以外にも脂質の代謝にも関与しています。
エネルギーとして使用されなかった余分な糖質はグリコーゲンや中性脂肪に形を変えて体内に貯蔵されます。

 


炭水化物は特に脳の働きに必要です。
身体に必要なエネルギーは、たんぱく質や脂質を分解しても足りることがありますが、脳に必要なエネルギーである「ブドウ糖」は、余程の状態でない限り、炭水化物からしか摂ることが出来ません。
炭水化物の不足は、思考力の低下や疲れやすさを招き、「仕事や勉強がはかどらない」「なかなか能率が上がらない」といった症状を引き起こします。
脳に必要なカロリーは、一日約200~300kcal。頭をしっかり働かせるためにも、炭水化物が必要です。

 


炭水化物を多く摂るほど、ビタミンB1は必要になります。
炭水化物はエネルギー源として直ちに利用されない場合は、グリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されたり、脂肪となって皮下に貯蔵されたりします。
そのために炭水化物の過剰摂取は肥満の原因になりますが、グリコーゲンや脂肪は空腹時のエネルギー源として重要です。
また、エネルギー源として炭水化物を摂っていれば、たんぱく質の分解によるエネルギー生成は必要なくなるので、たんぱく質の余分な消耗が防げると共に体たんぱく質分解による腎臓への負担を減らすことが出来ます。

 


エネルギーを産生する
食べ物に含まれる糖質は、すべて最小単位である単糖にまで分解されてから吸収され、各細胞へと運ばれて1gあたり4kcalのエネルギーを産生します。
エネルギーは、脂質やたんぱく質からも作り出すことができますが、脳のエネルギー源になるのは、飢餓状態にならない限り、単糖のひとつ、ブドウ糖だけです。
炭水化物(糖質)の不足は、脳の燃料切れによる思考力低下のほか、疲労感ややせすぎの原因にもなります。


という感じのものが挙げられますが、基本的に「炭水化物」という言葉ではなく、「糖質」とか「ブドウ糖」というような解説になっています。

当然だと思います。

エネルギーとなるのは、あくまでも「糖質」であり「ブドウ糖」であり、「食物繊維」ではないですから。

食物繊維はエネルギーの視点でみたら、あくまでもおまけの存在で記載がされています。

炭水化物は大事と主張する方は、ここが一番のアイデンティティのようになっています。

 

で、前回も話した通り、

「脳のエネルギー源となるのは、ブドウ糖だけではない」「ブドウ糖は唯一の脳のエネルギー源ではない」

という事です。

 

「脳にとっては唯一の栄養素」という表現が無ければ、どうなるのだろうか?

 

長くなったので、その話は次回にしたいと思います。