糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

糖新生を非常時の機能とする考え方を刷り込むとこうなる

そもそも「糖新生」とは、身体の非常時に備えて常備している身体の機能です。
それを、日常的に使ったらどうなるでしょうか?
たとえてみると大きなビルには地震などの災害のために電力を備蓄してます。
地震が来ないのに、日常的にその備蓄から電力を使ったらどうなるでしょうか?
身体と電力は違うものですが当たらずとも遠からずと言ったところだと思います。
日常的に最終兵器を使っていたら本当に困ったときに使う手が無くなってしまいます。
そうなってくると、身体の中は悲鳴を上げていることでしょう。

 

前回の続きです。

 

上記の通り、「糖新生」は脂質をエネルギーとして利用する際に行われる、身体にもとから備わっている機能です。

 

ここで不思議なのですが、なぜ糖新生の働きを「非常時」と限定するのでしょうか?

そもそも「非常時」というのは、どういう状態なのでしょうか?

 

基本的に、糖新生は、糖質・血糖値が落ち着いている状態の時に起きます。

糖質を食べて血糖値が上昇し、下降して平常値に落ち着く。

それ以降、糖質を摂取しない状態が続くと、血糖値を維持するための材料が「平常より」少なくなる。

その際エネルギーとして、使われるのが脂質であり糖新生であるという事です。

簡単に言うと、こんな感じです。


このように、糖質を摂取しなければ、勝手に作用し始めるエネルギー産出方法が、「糖新生」というだけです。


これは、「非常時」の状態なのでしょうか?

 

この作用は、夕食後から寝て、朝食を摂るまでの間も起きます。

例えば夕食を18時にとって、その後朝食を朝6時にとるとするなら、約10時間程度は行われているイメージです。

普段3食食べている人が、朝食と夕食と2食しか食べれなかったとき、その時間も起きています。

これは、非常時なのでしょうか?

必要以上に危機感をあおっているだけにしか私は思えません。

 

非常時というのでイメージするのは、この糖新生が行われない程、体脂肪量が減り、あばら骨も浮き出るくらい、手足の筋肉もそぎ落とされているような状態が非常時というイメージを、私は持っています。

メタボのような人が、昼食を抜いただけで、「あなたは非常時だ」とするのは、意味が分かりません。

上記の例で「最終兵器」というのであれば、「筋肉量がガクリと落ち始めるような状態」であり、「身体や生命を維持するために重要な部分の筋肉が削られている程の状態」がそれに該当すると考えます。

例えば筋肉の塊である心筋等ありますが、その前に使われる大腿部のような太い筋肉がそうです。

それが細くなって長時間動けなくなると狩猟活動が出来ないですし、何かしらの危機から、独力で逃げる事が出来なくなります。


もっと言うと、糖質を摂らないだけでエネルギー不足になる事もありません。

なぜなら糖質制限は脂質を十分に摂る事でエネルギーを確保する方法です。

これをやらずにただ単に普段の食事から糖質だけを抜くという糖質制限食のようなカロリー制限食をすると、彼女(前述したメルマガの著者)が主張するような状態になるかもしれませんが、それは、根本的な間違いをしています。

糖質制限食と言っても、私にも医師にも、推奨するPFCバランスはありますから。

勝手に自分のやり方で「糖質制限食を実践している」と主張しても、傍から見たら「何をやっているのか?」という人は、少なくありません。


最初に戻りますが、「非常時」という言葉を軽々しく使い過ぎです。

 

彼女は、「非常時」というのをどういうイメージをしているのか分かりませんが、私がイメージするような「非常時」は、どいうように見え、表現するのでしょうか?

他には「飢餓状態」という表現をしている人もいますが、同様ですね。

 

元から備わっている方法であれば、それを使える状態は、「正常」です。

生命を維持する方法が多い方が、人間という「種」「DNA」を後世に残すための方法として有利なのは間違いないです。

それでも生命を維持できなるような状態が「非常時」であったり「飢餓状態」であると私は考えています。

 

そもそも、糖質でエネルギーを補うというのであれば、脂質を使うタイミングが少なくなります。

そして、彼女が提唱しているダイエット方法では、「運動禁止」だそうです。

どれくらいのレベル以降を禁止しているかは分かりませんが、それで筋肉量の維持や脂質減少が出来にくいと考えますが、それは置いておきます。


何度も言いますが、彼女は「栄養士」です。

ただ残念ながら、栄養士の中でも彼女のような考え方をする人は多いし、医療業界全体(医師・看護師・薬剤師他)にも多いです。


イメージを刷り込まれた結果、このような表現となっていると思います。

想像力が欠如していると思います。


刷り込みとは恐ろしいものです。

そうならないでいいように、日々勉強が必要です。

そういった意味でも、栄養士でもあり、ダイエットに関して会社を立ち上げているような存在の人が、


ごめんなさい。
私は、糖質オフをきちんとやったことがないので、細かいことはわかりません。
間違っているところもあるでしょう。


という考え方ではいけないのではないかと思う訳です。

間違っている所もあると恐れるのであれば、その間違いが指摘できるような内容を挙げれるほどの知識が必要であると思います。

そうでなければ、「自分の主張に合わないから批判しとくか」という都合の悪い内容のもみ消し行為のようになってしまいます。

個人の感想だけなら、だれでも言えます。

そんなものでは説明になりません。

 

ただの勉強しない・新しい知識を入れない・成長せず、現状維持をするための自己弁護でしかないと思えて仕方がありません。


新しい知識に立ち向かわない人が、新しい知識を否定して、自分の主張を持ち上げるのは、間違っていると考えます。

 

持論を主張するだけで「他者の理論の否定」をしないのであれば、私も何も思わないのですが。

 

今回は、ここまで。


ずっとぼやいてますね(笑)

わかってますよ?