糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

日本人は腸が長いのか?

前回からの続きです。

 

モツ(動物の内臓肉)ってちゃんと噛み切れます?
相当な咬筋力がないと無理だと思います。
噛み切れないまま胃に放り込まれたモツはどうなるでしょう?

(中略)

ほとんど未消化のままモツは腐食しながら腸に送り込まれます。

 

と、主張されています。

噛み切れない = 未消化 = 胃から腸へ送り込まれる時は「腐食」している

という論調のようですが、かなり強引な主張だと感じます。


胃から腸に行く間に、何が起こっていると言いたいのでしょうか?

胃の中で「消化」ではなく、すでに「腐敗」が起きているとでも言いたいのでしょうか?


置き換えが面倒臭いので、ここでは腐食ではなく腐敗という言葉を使います。

食べ物が腐敗するためには「細菌(腐敗菌)等の増殖」や「毒素」のようなものが必要です。

胃では、「胃液」という強酸性の液体とたんぱく質消化酵素が排出されます。

胃液の主な成分…
・粘液(胃壁を保護し、消化をスムーズにする)
・塩酸(強い酸性で外来の細菌を殺す)
ペプシノーゲン(蛋白消化酵素ペプシンのもとになる物質。塩酸によりペプシンとなる。)

小腸では防御が出来ないので、ここで強酸性により殺菌を行ないます。

身体に有毒・有害であれば、「嘔吐」や「下痢」いう形でさっさと体外に排出するよう身体は働きます。

簡単に言うと、「食中毒」ですね。

ですが筆者の論調では、引き起こされるという作用は、「便秘」です。


「有害なもの」「腐敗しているもの」が体の中にとどまってどうするのでしょうか?

 

腐った動物の内臓肉が、アナタの腸に届いたときは地獄絵図。

 

その通りだと思います。


「腐敗」しているのであれば、さっさと体外に出さないと、感染症を引き起こし、身体の生命維持に支障をきたすのではないでしょうか?

なぜ、便秘になって体の中に留まろうとするのでしょうか?

大腸がんどころではなく、「菌血症」「敗血症」の引き金となるのではないでしょうか?


菌血症(きんけつしょう、英: bacteremiaあるいはbacteraemia)とは、本来無菌であるはずの血液中に細菌が認められる状態を指し、通常血液培養によって証明される。
敗血症と混同されることが多いが、敗血症は「感染を原因として全身性に炎症が起きている状態」と定義される。
一方菌血症は「細菌が血液中に存在すること」を指し、両者はオーバーラップする概念だが別概念である。

 

ウィキペディア「菌血症」参照

 


また別件ですが、よく引用される手法として

 

「日本人の腸は、外国人より長い。そのため消化に時間がかかり、その過程で腐敗するので肉はダメだ!」

 

という論調です。

ですが、色々と引っ張ってみると、その主張も大きく違いがあります。

皆さんは、どれくらい長いという様に聞いた事があるでしょうか?

あるサイトで比較検証していました。

 

健康食品やダイエット関連のホームページには、この「腸が長い」説がたくさん出てきます。
ところが不思議なことに、腸の長さに関するデータにはかなりのバラツキがあります。

 ●(日本人の腸は)3倍も長い
 ●2倍も長い
 ●1.5倍長い
 ●1.3倍長い
 ●1~2割長い
 ●4mも長い
 ●2~3m長い

 


さて、どれが正解なのでしょうか?

そのサイトの中で、

 

「日本人は腸が長い説」がどのような文脈で語られるかというと、日本人に和食を勧めるときとか、整腸剤や便秘薬を売ろうとするとき、ダイエット法の話をするときが多いようです。

 

とありました。

ここだけを切り取ると、大きな誤解を与えそうですが、私もそう感じます。

同じ人間で、「日本人」と「欧米人」という区別だけで、腸の長さが2倍違うとは考えにくいです。

という訳で、このサイトのURLを貼り付けておきますので、皆さんも一読してみてはいかがでしょうか?

www.wpjapan.com

ちなみに、2011年の記事です。

 

次回でまとめにします。