糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

脂質依存症って、どうやったら発症するの?

依存症は、中枢神経に作用する向精神物質によるもの(薬物依存症)と、ギャンブル、セックスなど特定の行動に対するもの(行為依存症)に大別できる。
前者では、摂取した依存性物質が、中脳辺縁系の脳内報酬系においてドパミン放出を促進し快の感覚を生じ、それが一種の条件づけ刺激になると考えられている。
後者でも、特定の行為を行うことで、薬物依存と同様にドパミンを介したメカニズムで報酬系が賦活され快の感覚を感じ、条件づけにより依存が形成される。

薬物依存症の場合は、条件づけによる常習化以外にも、神経細胞が組織的、機能的に変質して薬物なしでは正常な状態が保てなくなる場合があり、この現象も薬物依存の形成に大きく関与していると考えられている。

 


これを、依存、依存症と呼びます。
基本的には、行動によって悪影響をもたらす事を、依存、依存症と呼ぶのが一般的だと思います。

そして、もっと簡単に言うと依存症は、ドーパミンのような快感を放出する成分が関連します。
逆に言うと、それが無いと依存症のようになりません。


少し前に話したように、脂質・たんぱく質・炭水化物の内で、ドーパミンのような快楽物質を生み出すセロトニンを産みだすのは、たんぱく質と炭水化物(糖質)です。

セロトニンが生み出されるのに必要な減量の一つ目はトリプトファンで、必須アミノ酸の一種です。
二つ目は、トリプトファンからセロトニンを合成するのに必要なエネルギー源『炭水化物』。
三つ目は、トリプトファンからセロトニン合成を促進させる『ビタミンB6』。

脂質は生み出しません。

 

たんぱく質や炭水化物なら「依存症」と言ってもいいかもしれませんが、なぜ、「脂肪依存症」という、訳の分からない言葉を、さも危険な「依存症」という言葉をつけて、危険なイメージをあたえたのでしょうか?

意味が分かりません。

おまけに、これを解決するのに、有効な食べ物として、


「玄米を食べましょう。玄米に含まれるガンマオリザノールが、脂肪依存症を和らげる事が出来るんですよ」

「玄米には、脂肪をいつまでも摂りたいという脳の欲求を、和らげる事が出来るんですよ」

γ-オリザノール(ガンマ-オリザノール、英名:γ-oryzanol)とは、米糠の脂質に含有される、フェルラ酸とステロールとが縮合したエステル類の総称である。

ちなみに、ガンマオリザノールは医薬品としても用いられ、

高脂質血症
心身症更年期障害過敏性腸症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ

 

の働きがあります。

γ(ガンマ)-オリザノールが脳の中枢に作用し、食欲を抑えることを解明した。
玄米を食べると、自然に食事の好みが変化し、食べ過ぎを抑えられるという。
マウスに高脂肪食を与えると、脳の視床下部で小胞体ストレスが起こり、摂食を抑制するホルモンである「レプチン」が効かなくなる状態(レプチン抵抗性)に陥る。
マウスにγ-オリザノールを投与すると、視床下部の小胞体ストレスが抑制させ、通常食を好むようになることを確認した。
γ-オリザノールにより、高脂肪食による血中レプチン値の上昇やレプチン抵抗性が改善する。

γ-オリザノールは、体に吸収されにくい植物性ステロールであり、コレステロールの吸収を阻害する作用がある。
そのため、食物と同時に摂取すると、消化管からの吸収がゆっくりになる。
すると、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンが効きやすくなり、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され、満腹感を感じやすくなる。
これらの作用により、γ-オリザノールは食欲を抑制する働きをする。

γ-オリザノールインスリンを分泌するβ細胞の減少を抑え、回復する作用があることも世界ではじめて明らかにした。
γ-オリザノールが小胞体ストレスを抑えβ細胞の細胞死を抑制し、インスリン分泌能を高める作用をするという。


という事のようです。

コシヒカリ玄米100g内の含有量=23.2mg (精米:6.6mg)

米油に含まれるガンマオリザノールの方が、大匙1杯で、20~30mg前後、商品によっては、210mgを摂る事も出来ます。(加工したり、酸化してしまっている所も多いでしょうが)

この成分が、1日に90mg以上をとると、14日で「更年期障害」が改善したというデータはあるそうです。


ですが、例え玄米を食べたところで、糖質量は53.9gと、血糖値を大きく上昇させます。

糖質を摂取し血糖値が大きく上昇すると、快楽物質が一気に吹き出ます。

血糖値が上昇する事で、インスリンが大量に放出され、急降下すると、精神的な不安やイライラ、空腹感が発生します。

それにより、また快楽を得ようと、手軽に炭水化物(糖)を摂取する事で、解決しようとします。

 

このように、依存症というのであれば、血糖値の乱高下により生まれる炭水化物(糖質)摂取依存症の方がはるかに頻度も高く、世の中に依存症と気付かずに広まっている事実には触れず、脂質という、快楽を与えるような依存成分など含まない物に対し、「脂肪依存症」と、訳の分からない造語を作ってイメージを悪くする言葉を「医師」が、訳知り顔で話を進めるのは、いかがなものか?

 

しかも、それに対しての解説が全くなく、「あなたは脂質が好きですね?それは脂肪依存症です。」というような論理展開をするのは、意味が分かりません。

それだったら、何にでも当てはまります。

肉が好きですね?
お金が好きですね?
異性が好きですね?
平和が好きですね?
宇宙が好きですね?
これを収集するのが好きですね?

全てに対して、「あなたは依存症です」という事が出来ます。

極論でしょうか?

「医師」であるのであれば、そしてそのような依存症という言葉を使うのであれば、しっかりとそれに値する診断の基準があると思います。

私はネット上では調べる事が出来ませんでした。

どのような診断基準で、依存症であるのかないのかを判断するのか?

それをぜひ教えて欲しいものです。


そもそもですが、依存症の症状として、「脂肪依存症」というものがあるのでしょうか?

それは、どういった症状なのでしょうか?

どんな悪影響を与えているのでしょうか?

それは、糖質を摂取するよりも、依存性を与えるものなのでしょうか?

私は、依存性を与える影響の大きさは、

「糖質 > たんぱく質 > 脂質」(ドーパミン基準)

だと考えています。

「甘い物がやめられねぇ。」
「米飯を食べなきゃ、気が済まない」
「肉が好き~」

という様な人は多いと思いますが、

「脂サイコー」
「油を食べるの、やめられねぇ」

という人は見た事が無いです。

皆さんは、どう感じるでしょうか?


とりあえず、ここまでにしたいと思います。