糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

砂糖依存症という言葉について

前回、「なぜ疲れやイライラが、甘い物で改善するのでしょうか?」という疑問を投げかけてみましたが、それについての所感を記したいと思います。

 

砂糖反対派の話を取り上げます。

常に甘いものがそばにないと落ち着かず、疲れたりストレスを感じたりすると甘いものが欲しくなることはありませんか?
「甘いものを手放せない!」というあなたは「砂糖依存症」かもしれません。
毎日のようについ口にする「砂糖」には、依存性があり、うつ病骨粗しょう症などといった、様々な恐ろしい状態を引き起こす原因になりえるのです。

糖の中でも砂糖は分子が小さいために体内でブドウ糖に分解されやすく、特に空腹時に砂糖を摂取すると血糖値が急激に上昇します。
その結果、血糖値を下げる働きを持つインスリンが一度に大量に分泌されて血糖値が急低下し、「低血糖」状態を引き起こします。
そして、体内が「低血糖」状態になると、脳がエネルギー不足で「空腹だ」と勘違いし、「甘いもの(糖分)を摂取して血糖値を上げろ」と信号を出してしまうのです。
このため、砂糖を摂取した後、空腹でないにも関わらず繰り返し砂糖を欲するようになります。

砂糖を摂取すると脳の中でドーパミンセロトニンノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質が分泌されます。
これらはそれ自体、もちろん危険な物ではないのですが、人に幸福感や癒やしを与える麻薬のような性質を持っています。
身体が疲れたときや、ストレスを感じるたびに甘いものを食べて幸福感や癒しを得るようになると、この快感がクセになり、やがては中毒のように「砂糖を取ること=幸せになる」と無意識に脳が感じるようになってしまいます。
快感を得るために砂糖を摂る、この状態に陥るのが砂糖依存症です。

 


皆さんは、このような話を聞いた事があるでしょうか?

私は、砂糖(糖質)に対して、上記文章に近いイメージを持っています。

 

ここでの「低血糖」というのは、急激に血糖値が上昇し、普段が110mg/dlだとして、例えば糖質を多く摂取して200mg/dl前後まで上昇するとします。
その後、正常値である110mg/dlまで低下すると、その差は90mg/dl。
血糖値の落差による低血糖という意味で、本来の低血糖の意味である70mg/dlを下回るような数値ではないという事を注釈しておきます。(そういう意味で捉えていた方が、誤解が少ないと思います。)

 

上記されているように、砂糖には「幸福感や癒し」を与える力があります。

これにより推進派は、イライラが改善するという事を言いたいと思います。

 

食べ物の中には、セロトニンを産みだすのに必要なトリプトファンを多く含むものがあります。

トリプトファンは、アミノ酸たんぱく質)です。

ヒレ肉、鶏胸肉、牛モモ肉部分に多く含まれています。

肉を食べると、幸せな気分になりませんか?

それにはこういった理由があります。

そして魚類・鶏卵・チーズ・大豆製品が続きます。


ここで注目したい部分があります。

砂糖を摂取しても、肉・魚・チーズ・大豆といったたんぱく質を摂取しても、セロトニンドーパミンが生まれます。
ドーパミンはやる気や快楽を、セロトニンは精神の安定や安らぎを与えてくれます。

ですが、砂糖には依存症と呼ばれるような言い方をされますが、たんぱく質をとっても依存症だと主張するサイトは、見た事がありません。

砂糖が大好きで、毎日食べているというのと、肉が大好きで、毎日食べているというのは、何が違うのでしょうか?


「血糖値の大きな変動」です。

 

砂糖のような糖質は、血糖値を上昇させます(糖質1gあたり、3mg/dl上昇)。
よく例に出される「角砂糖」ですが、だいたい一個3~4gです。
これだけで、血糖値が10mg/dl前後上昇します。

 

例として、パウンドケーキを挙げます。
レシピを見ると、
マーガリン 100g
白砂糖 100g
薄力粉100g
ペーキングパウダー小さじ1
卵2個
バニラエッセンス 4滴

白砂糖100gで、糖質量99.2g
薄力粉100gで、糖質量73.4g

と、これだけで172.6gの糖質量となります。

一人で全部を一気に食べる訳ではないので(そういう人もいるかもしれませんが)、単純には計算できませんが、10等分したら、約17g、8等分でも、約21gの糖質を摂取する事になります。
その分血糖値が上昇するため、低下させるためにもインスリンが分泌されてしまいます。

 

それでは、肉はどうでしょうか?

肉・鶏卵には、糖質は、ほぼ含まれていません。

100gあたり、糖質量が0.5gを超えるものは、ほぼ無いです。

牛乳には、糖質が5g程度、大豆は水煮状態で、糖質が1g程度でしょうか?(100gあたりの含有量)

そのため、肉・鶏卵、魚もですが、それだけを食べても、この糖質含有量では血糖値がほぼ上昇しません。

血糖値を下げるために必要なインスリンも(ほぼ)分泌されないです。

ここに違いがあります。

血糖値の大きな変動や、インスリンが多く分泌する事で、かなりの影響を身体に与えてしまいます。


長くなってきたので、今回はここまで。

 

次回は、血糖値の変動がもたらす常習性・依存性についての話になると思います。

 多分。