糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

朝ごはんを食べても食べなくても、頭がボーッとするのか?

前回の続きです。

 

皆さんも耳にしたことがあると思います。

「食事をすると、胃(消化器)に血液が持っていかれ、頭がボーッとしたり、眠くなったりする」

「そんな時は、15~20分の睡眠をとりましょう。それで、午後からの作業効率アップ!!」

という言葉です。

 

昼食後の事でよく使われる言葉です。

「昼ごはんを食べると眠気が来やすいので、そんな時は仮眠をとった方がいいですよ」という感じで、よく使われます。

 

そうなると、食後というのは、ボーっとしやすくなるという事なのでしょうか?

つまり、朝食・昼食・夕食といった食事の後は、ボーっとするような感じになるのでしょうか?

だったら、朝食を食べなければ、頭はボーッとしないという事になるのではないでしょうか?


すると、朝食推進派は、このように言います。

 

朝ごはん抜きはNG
朝ごはんを抜くと、ランチの時間までずっと低血糖状態で過ごすことになります。すると昼にブドウ糖が吸収される際、体が長時間飢餓状態であった反動で、血糖値が急上昇しやすくなると言われています。朝ごはんを食べる時間がない朝でも、ジュースや加糖コーヒーなど糖質を含むドリンクを少しでも体内に入れておくようにしましょう。


多少ニュアンスは違いますが、おおむねこんな感じです。

「朝ごはんを抜くと、昼ごはんをガッツリ食べやすくなるので、太りやすいから健康に悪い!!」といった感じです。

だから、朝食は少しでも良いから食べましょうという感じです。

合わせて、このようにも主張しています。

 

・ゆっくりよく噛んで食べる
早食いをすると、ブドウ糖をはじめとする栄養素が急速に吸収されます。
血糖値が急上昇する原因になるので、食事はゆっくりと食べ進めるよう心がけてください。
また満腹中枢が刺激されるのは、食べ始めてから15分後だと言われています。早食いはなかなか満腹に感じないため、大食いの原因にも。よく噛むことでさらに満腹中枢が刺激されやすくなるので、肥満防止にもごはんはゆっくり食べるよう心がけてください。

 

・糖質を摂りすぎない
主食となるごはんやパン、うどん、ラーメンなどの炭水化物は、糖質を多く含む食べ物です。
体にとって適量の糖質は不可欠ですが、過剰な糖質摂取は避けたいもの。
糖質ばかりの食事メニュー、例えばうどん定食や菓子パン、ごはんの多い丼ものなどは食後の眠気を誘発するため、できるだけ控えた方がよいでしょう。

 

・食べる順番を変えてみる
食物繊維が豊富な野菜や海藻を先に食べることで、腸壁が食物繊維でコーディングされ、ブドウ糖の急激な吸収が抑制されると言われています。
また肉や魚、大豆などのタンパク質も、胃腸の働きをゆっくりとしてくれる効果があるのだとか。
食べる順番をできるだけ「野菜→メイン料理→主食」と意識することで、血糖値の急変動予防につながります。

 

・まとめ
食後数時間は、あらゆる臓器が消化のためにフル稼働中。
ある程度眠くなるのは仕方ないことですが、異常な眠気は病気のサインかもしれません。
眠くならない=血糖値を急変動させない食べ方を実践して、病気の予防を心がけたいですね。
食後の眠気対策も、ぜひお試しください。

 


主張の根底に、「体にとって適量の糖質は不可欠ですが」という事があるからだと考えています。

私は、「食後にボーっとするかどうか」という事について、結論は出ていると思います。

上記の「糖質を摂り過ぎない」「まとめ」の部分にあるように、「糖質の過剰摂取」です。

特に、「眠くならない=血糖値を急変動させない食べ方」という部分が答えだと考えています。

逆に言うと、「眠くなる=血糖値を急変動させる食べ方」となりますから。


朝ごはんを食べるから、食べないから頭がボーッととするのではなく、糖質を摂取するかどうかによって頭がボーッとするという事です。

実際、糖質制限を「ルールを守って」行なっている人は、食後の睡魔というのは基本無い(少ない)です。

ですが、定食のような米飯を中心とした、糖質たっぷりのメニューを食べた人の大部分は、睡魔に襲われると思います。

 


私が着目している部分の一つに、人類(生物)の歴史的に、朝食を食べないと頭がボーッとするのかどうか?というのがあります。

 

狩猟民族の話をします。

大昔の農耕が広まる前の狩猟が中心の時代でも当てはまります。

 

狩猟中心なので、基本的には獲物を探し出さないと、食事にありつけない生活をする事になります。

基本的には「飢え」との戦いです。

獲物を探すために必死です。

そうでないと、死んでしまいますから。

そんな状況だと、朝起きて食事が準備されているかどうかわかりません。

何日も獲物を取れないかもしれないからです。

太古の昔だと保存技術も低いでしょうから、手持ちの食料もそんなに多くないと思います。

そんな状況で、朝起きたあとに朝食が食べれないとします。

 

ボーッとしますか?

 

お腹空いているのに。

獲物を探すのに必死になるはずです。

飢えをしのがないといけませんから。

朝食を食べないと頭がボーッとするというのであれば、感覚も動作も鈍り、そのまま動かなくなって死んでしまいます。

 

逆です。

 

朝食を食べる事が出来ないのであれば、食事にありつくために獲物を探すためのエネルギーが不可欠です。

獲物を捕るために必要な感覚が研ぎ澄まされ、色んな刺激(物音・臭い・視界の変化)に敏感になります。

獲物を捕らえて、「生き抜く事・生命を維持する事」に全力を傾けないといけないからです。

ボクサーが減量期に、「感覚が研ぎ澄まされる」というのと同じだと思います。

 

なので、「朝食を食べないと、ボーッとする」「脳がエネルギー不足になる」「集中出来ない」というのであれば、人類はとっくに滅亡していると思います。


また天敵がいると、食後にボーッとも出来ないです。

天敵は今でもいますよ。

ライオン・虎・豹・ワニ・ヘビ等々・・・・。

 

獲物は基本的に動物から摂取する脂質・たんぱく質中心です。

糖質を摂ってボーッとしていると、その最中に天敵に襲われて命を絶たれてしまいます。

そうならないように、食前・食中・食後、睡眠中もですが、鋭敏な状態を保たないといけないです。

糖質を取ってしまうと、それを保ちにくくなってしまいます。

 

凄く簡単に言いましたが、こういった生命の歴史があるからこそ、糖質を摂取しなくても生命が維持できる状態が、最初から備わっていたと考えられると思います。

生命・種を維持するためにも、糖質を摂らないでも大丈夫な機能が、我々の身体には備わっていると考えています。

 

もう少し続くかな?