糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

「食事制限」の定義を考えてみる

前回の続きです。

 

ある動画で、「食事制限一切なしで、簡単に痩せられるよ」といった趣旨のものを紹介しました。

その中で、

「食べたいものは食べればいいじゃん!ポテチとか、普通に食べたいものを食べてたよ?」

と、「食事制限に関してはほぼしなかった」という話をしていました。

ですがルールとして、

「自分の基礎代謝量よりも超えないカロリー摂取をし、少しくらい超えたとしても、それを消費するだけの運動をしっかりする」

ということをやれば、絶対に痩せれる!

「体重を落とす」だけで考えれば、簡単ですよ。

 
と、主張されていました。

これは動画の投稿だったので、コメントもありましたが、

「流石です。参考になります。」
「自分もやってみます!」

という賛同をする人もいれば、

「それって、食事制限ではないの?」

と、否定的な感想を持つ人もいました。

前回も書きましたが、この人の考えとしては、

「食事制限 = 食べたいもの・甘いものを我慢する」

という事だと思います。


私自身は、食事制限ナシという言葉を用いるのに関しては、一部正解ですが、基本的に不正解であると思います。

この動画の紹介内容ではかなりの誤解を与えやすい使い方をしていると感じます。


少し話が変わりますが、ダイエットとボディメイクという二つの言葉があります。

この違いの話を原点にしているのですが、私は、この食事内容はダイエットでは無く「ボディメイク」の印象を受けます。

「ダイエット=体重を減らす」

というのだけでは、正解でもあり、不正解でもあります。

ハッキリと答えが出せないのは、「ゴールがどこなのか?」というのを明確にしていないからです。

「体重を減らして、健康的・日常生活でのコンディションの向上・維持」

がゴールというのであれば、ダイエットだと考えます。

「体重を減らして、ボディラインを極限まで補足する」
「体重を減らして、コンテストで良い結果を残せるようにする」
「体重を減らして、ボクシング・柔道・レスリングで望む階級で試合をする」

というのであれば、ボディメイクだと考えます。


上記の考え方だと、今回の動画の紹介内容であれば、この人にとっては「ダイエット」ではなく「ボディメイク」に該当すると判断します。

理由は、動画の中でも話していました。

「食べてても栄養失調になっていた」

「撮影とかがあればもっと絞るけど、動画を投稿するうえでは、現在の41キロ後半がベスト」

この食事方法を行なう事で、「栄養失調を引き起こす」という事が生まれている事実がある以上、これは健康的でなく、コンディションも低下させています。

目的の一つとして、「撮影」というものもあります。

出来るだけボディラインを細く見せたいというのがゴールであれば、それは「ボディメイク」です。

「健康」よりも「見た目という商業・興行的な目的」を重視しています。

栄養失調になったとしても、健康を維持できない可能性が高いとしても、撮影の期限までに、身体を絞り込んで理想の身体を手に入れる作業を行なうというのは、ボディメイクです。

ですので、この動画のタイトルについて、「ガチで痩せる方法」というのであれば、特に否定的な意見は出なかったと思います。

動画の中では「ダイエット」を連呼していますので、それはいかがなものかと感じてしまいますが、残念ながら、一般的には、「体重を落とす = ダイエット」という認識が根付いています。

そこは仕方がないかもしれません。

 

では次に、「食事制限」の定義についての話をしたいと思います。

食事の「制限」をどうとらえるかによって、答えが変わってくると思います。

 

制限 (せいげん)とは、自由な動きを許さず、ある範囲内に押さえつけることである。「制し、限る」ことを指す。
社会を営む上で、大勢が許容しない行為には制限が設けられている。
法律などの規則による制限を規制という。


制限の意味はこれになります。

となると「食事制限」とは「食事を管理し、適性の範囲内に押さえつける事」になると考えます。

 

動画の内容にあてはめると、

「食事(食べるもの)の種類に制限を設けないが、食べる量は基礎代謝量以下の摂取カロリーの範囲内に押さえつける事」

となると感じますので、「食事制限一切なし」という表現をするのは、間違いであると考えます。

カロリー制限をしていますから。
「食べる量を一定のカロリー内にする」という制限をしていますから。

 

食事の種類を制限しないという事にしか焦点をあてていないのであれば、それは正しいと思います。

ですが、内容はそれ以上に踏み込んでいますので、その意図と反するのであれば、とても誤解を与える表現であるのは間違いないです。


多分、「食べる種類の幅を狭める = 食事制限」という意識しかないのだと感じますが。

おっと、憶測で決めつけをしてしまいました。


この動画の賛同者は、「食べる種類数を減らす」というダイエット(?)方法に否定的な傾向にある人達だと感じます。
「大好物は止められないけど、痩せたい!」という感じでしょうか?
「お米を食べないなんて、考えられない!!」という感じの考え方を持っている人に多いのかもしれません。

 

批判的にみる人たちは、この方法論に違和感を感じている人達だと思います。
健康被害が出るのでは?」
という感想を持つでしょうし、ダイエットに関しての持論を持っている人かもしれません。
一般的な考え方を持っていて、真新しい情報に飛びつかない人たちと言えるのかもしれません。
色々な価値観があるため、この動画の主張には賛同できなかったという事だと思います。

 

ちょっと偏見を含んでいるかもしれません。

気分を害された方がいらしたら、申し訳ありません。


少し内容が物足りないですが、まとめていくと

 

今までの食事内容を継続している結果が、現在の姿となります。
それに関して、ルールがないというのであれば、それは「食事制限無し」と言えると思います。

ですが、普段食べているものを「目的のために」食べ無くなったり、食べている量を「意識を持って」減らしたりするという行為は、「食事制限」に該当すると考えています。

 

意識や目的が働くかどうか?

 

という所が、大きく影響すると思います。

小さい頃からの習慣が身につき、、他人がうらやむようなスタイルを手にしているというのであれば、それは「食事制限」は発生していないと感じます。

それが日常になっていますから。

エスキモーの人達のような狩猟民族が、米を食べないとしても、それは食事制限ではないです。

それが日常になっていて、意識は生まれていませんから。

 

反対に、

糖質制限
カロリー制限

という言葉がある様に、今まで自由に日常で食べていた事から、「糖質を減らすようにしよう」「カロリーをここまでにしよう」と意図的に変化をつけるであれば、それは、「食事制限」になると考えます。

 


こんな感じでまとめにしたいと思います。

皆さんは、どう思われたでしょうか?

今回は、ここまで。