糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

蕎麦粉の種類について

それでは、前回の続きです。

 

と言いたい所ですが、一つ書き忘れていた事がありました。

 

「生蕎麦」についてです。

 

生蕎麦(きそば)

変体仮名で書かれた「生そば」の看板
生蕎麦は現在では、二八蕎麦、十割蕎麦、五割蕎麦他の「蕎麦屋の蕎麦全般」を指す。
蕎麦屋で生蕎麦の語が使われるのは、上等な蕎麦を生蕎麦と呼んでいた頃の名残である。
元来は「そば粉だけで打ったそば・そば粉に少量のつなぎを加えただけのそば・小麦粉などの混ぜものが少ないそば」を意味するものだった。
しかし、江戸時代中期以降、小麦粉をつなぎとして使用し始めたことにより、二八蕎麦が一般大衆化したため、高級店が品質の良さを強調するキャッチフレーズとして「生蕎麦」を使うようになった。
その後、幕末頃には「生蕎麦」の指す範囲は拡大し、二八蕎麦にも使われるようになった。
現在では、蕎麦粉の割合が明らかに低いと思われる駅前の低価格立ち食い蕎麦店等でも「きそば」のぼりは堂々と掲げられており、その意味は希薄化してしまっている。
そのため、蕎麦粉だけの蕎麦を売りにしている蕎麦屋は、分かりやすく表示するため「十割蕎麦」あるいは「生粉打ちそば」という表現を用いるのが一般的である。
また「茹でる前の生麺」、「生麺・ゆで麺など水分を多く含んだ麺」という解釈もあるが、この場合「きそば」ではなく「なまそば(生そば)」と異称される。
生蕎麦の看板や暖簾は、現代での変体仮名の用途の代表例として引用されることがある。


生蕎麦という文字を見ると、

「蕎麦の風味を感じる事が出来る」

「おいしい蕎麦が食べれそう」

という良いイメージを与えますが、もともとの持つ意味が崩れています。

 

「 生蕎麦 > 乾麺の蕎麦 」

という方程式が、現状成り立たないようになっているので、ご注意下さいませ。

 


それでは、本題に入ります。

蕎麦粉は、当然「ソバの実」から作られます。

 

蕎麦粉は製粉、篩(ふるい)分けの度合いにより「一番粉」・「二番粉」・「三番粉」他に分けられる。

 

一番粉 内層粉
そばの実の中心部分の胚乳のさらに中心部が主体、白色でほのかな甘みがある最上級粉だがそば独特の香りや風味に欠ける。
成分は主に炭水化物(でんぷん)と水分。更科粉(さらしなこ)とも呼ばれることがあるが、本来の更科粉は製法が異なる。

 

二番粉 中層粉
胚乳と子葉(胚芽)の一部が主体、うす緑黄色で香りが高く風味に優れる。
ちゅうそう粉と表記されることも多い。

 

三番粉 表層粉
胚乳の一部と子葉(胚芽)と種皮(甘皮)の一部、やや暗い青緑色で香りが強く栄養価が高いが味と食感に劣る。

 

末粉  表層粉
子葉(胚芽)と種皮(甘皮)が主体、黒っぽくホシ(甘皮や蕎麦殻の破片)が多い。
風味は非常に強いが食感は最も劣る。
栄養価は最も高い。
蕎麦がきや蕎麦菓子、冷凍麺、ゆで麺、乾麺の色づけなどに使用。
四番粉、五番粉とも。
特に繊維や殻の破片が多いものはさな粉(さなご)とも呼ばれる。

 

ひきぐるみは、抜き実もしくは玄そばを直接ひいた粉を篩で調製したものである。
つまり、一番粉、二番粉等に分けたものをあわせた粉ではない。
全層粉、全粒粉ともいう。


という感じで分類されます。

ソバの実の部位によって、栄養価も結構変わってきます。
(数値は省略)

 

含有たんぱく質
表層 > 全層 > 中層 > 内層

 

含有脂質量
表層 > 全層 > 中層 > 内層

 

食物繊維量
表層 > 中層 > 全層 > 内層

 

という感じです。
カロリーに関しては、358~361㎉のなかに全て収まるので、ほぼ変わらないです。

 

ちなみに、ビタミンB群も、配合量は
表層 > 中層 > 全層 > 内層

という感じになっています。

 

前回書いた「蕎麦の着色・風味付け」のために、表層部分(末粉)を配合している所は多いかもしれません。

 


さて、ここで蕎麦の種類に戻るのですが、「更科蕎麦」というのがあります。

 

更科粉は、厳密には玄そばを挽き抜きした際に大きめに割れた「上割れ」だけを用いた粉であるが、俗に一番粉を主体とした白っぽい内層粉もしくは一番粉のみで作った粉を指すこともある。
御膳粉とも。
更科蕎麦は、更科粉主体で打った白い色のごく高級な蕎麦麺である。

 

更科蕎麦(さらしなそば)
ソバの実を挽くと中心から挽かれて出てくることから、後から出てくる粉に比べて、最初に出てくる一番粉が白く上品な香りを持つ。
一番粉を使用した蕎麦が「更科蕎麦」である。
東京などでよく食べられる。
粘りがなく、つなぎをよく使う。


更科蕎麦は、上記のように、

・ソバの実の内層部分を使用
・粘りがないため、つなぎ(店舗により異なる)が使われる

という事です。

一方で十割蕎麦は、全層粉を使うと思います。

蕎麦粉全てを使う十割蕎麦と、栄養価が一番低い部分である内層粉と、小麦粉(だけとは限らないが)を中心としたつなぎを混ぜ込んだ更科蕎麦。

どちらの方が、栄養価が高いのでしょうか?

 

当然、前者です。

 

ですが、蕎麦の価格としてはどうでしょうか?

店舗によって当然変化しますが、「十割蕎麦 < 更科蕎麦」の価格帯が多いようです。

手間もかかるし、利用出来る部分も少ないから当然なのかもしれません。

でも、値段が高いと、栄養価も高いような気がしませんか?

私だけでしょうか??

 

値段の話はともかくとして。

 

ソバの実から、蕎麦粉は生まれます。

恐らくほとんどが全層紛にはなると思います(コストがかかるため、そうではないかという憶測です)。

更科蕎麦のように、内層紛を使うと、それ以外として表層・中層部分がうまれると思います。

そういった所も、別の方法で利用されているようですが。

 


何が言いたいかというと、

 

「ソバの実の使用部分・蕎麦の種類や、つなぎの配合量にも言及せずに、「蕎麦を食べればOK!」と言い放つのは、無責任ではないか?」

という事です(前回に続き2回目)。

 


少し長くなってきたので、ここまでにします。

次は、「蕎麦ダイエットには、こんないい所がありますよ~」という部分に触れていきたいと思います。