糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

蕎麦の配合量による種類分けについて

それでは前回の続きで、蕎麦の種類についての話をしていきます。

タイトルの通り、蕎麦粉の配合割合と、使っている部位についての話に触れていきたいと思います。

 

前回書いた通り、蕎麦には配合割合によって、表現が変わってきます。

 

まず、生麺についてです。

 

十割蕎麦(生粉打ちそば)
二八蕎麦(内二八蕎麦・外二八蕎麦)
五五蕎麦

 

という表現があります。

皆さんもご存知かもしれませんが、蕎麦に含まれる蕎麦粉の配合割合によって決まります。

十割蕎麦だと、全てが蕎麦粉と少量の水だけで。
二八蕎麦だと、8割が蕎麦粉、2割が小麦粉のようなつなぎを使用。
五五蕎麦だと、半分は蕎麦粉を使っている。

という事になります。

もっというと「九割蕎麦」というような表現もあるのですが、同じような考え方ですので、省略します。

私も蕎麦が好きなので、「十割蕎麦」という文字を見ると、食指が動いてしまいそうになります。

 

表示の決まりがどうなっているかというと、

 

生めんの分類
公正競争規約により定められており、蕎麦粉が30%以上使用されていないものは「そば」と表示できない。
公正マークがついていない商品はこの限りではない。
品質表示基準が存在しないため、公正マーク取得にこだわらなければ制約が低い。
加工食品品質表示基準により、蕎麦粉が5割以上のため原材料が小麦粉、蕎麦粉の順に書かれる。

 

という事になります。

栄養士のバイブルである「食品成分表」の中では、生蕎麦として備考欄に

「別名:そば切り 原材料配合割合 小麦粉65% 蕎麦粉35%」

と表記されています。


「生めん」の蕎麦については蕎麦粉の割合が法律で定められている。
不当景品類及び不当表示防止法に基づき「生めん類の表示に関する公正競争規約」では「そば粉3割以上」の製品について「そば」との表示が認められている。
3割以上あれば「蕎麦」と名乗れるので、小麦粉7割+蕎麦3割でも蕎麦である。


という事になるので、「生めん」と書かれているからと言って、蕎麦の風味や蕎麦粉配合量がたっぷりという訳でもない事が分かります。

 

それでは、乾麺ではどうなっているのか?

乾麺には乾麺で独自のルールがあります。


蕎麦粉の含有量の定めがない。
そのため数%でも蕎麦粉をいれてあれば「蕎麦」という表示が可能になる。
さすがにそのままでは消費者に対しておかしいということでJAS法の改訂があった。
その改訂により、蕎麦が2割以下なら「2割以下」、蕎麦が一割以下なら「1割以下」と表示する義務が生じた。
しかし、乾麺の蕎麦は、たとえ1%しか蕎麦が入っていなくても「1割以下」という表示をすれば「蕎麦」と名乗っていいわけである。
(中略)
実際に販売されている「乾麺の蕎麦」は、だいたい2割を超えるくらいの蕎麦が入っている程度と言われている。
いわゆる逆二八蕎麦である。
(※逆二八とは蕎麦とつなぎが二対八の割合で、生麺の二八蕎麦が蕎麦8:つなぎ2という比率の逆であることを揶揄したもの)


加工食品品質表示基準により、成分配合量の多いものから原材料を記載しないといけないため、蕎麦粉が一番にかかれていたら5割以上が含まれている事がわかります。
市販品で安価な乾麺もありますが、だいたい小麦粉が一番最初に記載されています。
小麦粉の方が安価だからです。

そば粉の多くは輸入品で、相場は1kgあたり約450円(国産品は2倍)。小麦粉は半額以下の200円。(2014年)

 

また、蕎麦粉の配合量が2割以下であると「2割以下」「1割以下」と表示しないといけないルールがあります。
そういった表示を見た事ないので、ほとんどの商品は蕎麦粉が2割超配合されているのではないかというのが考えられます。

 

ちなみに乾麺に関しても、食品成分表では「原材料配合割合 小麦粉65% 蕎麦粉35%」が栄養価計算の基準になっています。

もう少し調べると、

 

「石臼引きのそば粉4、小麦粉6です。昔はそば粉2、小麦粉8でしたが、そばの色を出すためにこの割合にしました。自社工場から生そばを店に納入し、釜で茹でたあと冷水で締めています」(富士そば=首都圏101店舗)

 

「そばは製麺機で店舗ごとに1日2回作っています。初期投資はかかりましたが、結果的に経費削減ができた。そば粉の割合は同割り(5割)です」(ゆで太郎=同136店舗)

 

「スーパーなどで売っている乾麺、干しそばは、そば粉の含有率が3割未満であればそれを表示することが日本農林規格JAS)で定められています。しかし、外食のそばにはルールがない。店員から食材についての説明を受けることが可能という前提があるからです」(食品表示企画課)

つまり、立ち食いそばでは、ほぼ小麦粉でできた「うどんのような麺」でも“そば”として提供が可能なわけだ。こうした麺を作る場合、もっとも苦労するのは「色」だという。前出の製麺業者が打ち明ける。

「小麦粉が多いとそばの色が白くなるため、着色料を使って“そば”らしい色にする。さらにそばの香りを出すため、そばの実の殻に近いエグみのある部分を混ぜる。このようなテクニックを使えば、機械製麺なら1玉30円以下で店に納入することができる」

 

(参照)
そば粉比率 低い格安立ち食いに対し大手チェーンは品質向上2014.07.27
https://www.news-postseven.com/archives/20140727_265599.html

 


4年ほど前の記事なので現在は変わっているかもしれませんが、

「立ち食いソバの全ての店舗で」とは言いませんが、安価で提供するためには、蕎麦粉配合量をかなり抑えないといけなくなります。

利益が出なくなりますから。

品質向上を掲げる大手チェーンでも、蕎麦粉配合量は4割以上のようです。

 


さて、このような現状があるにもかかわらず、

「置き換えのしやすい昼食を、蕎麦にしましょう!」

という事だけで、蕎麦ダイエットの効果が期待できるのでしょうか?

こういった所に全く触れないのは、無責任に感じます。


長くなってきたので、今回はここまで。

次回は、蕎麦粉について触れていきたいと思います。