粗食ダイエットの注意点
追記です。
前回、トリプトファンが牛肉や動物性たんぱく質に多いという話をしました。
では、玄米には含まれてないか?という話にもなりますが、含まれています。
100gあたり、94mgです。
ちなみに、摂取目安量として、
「成人:体重1kg当たり2mg程度 = 体重が50kgの場合100mg程度」
のようです。
ですが、
牛サーロイン210mg
豚ロース230mg
鶏もも肉190mg
です。
とても効率良く摂取出来るのが、動物性たんぱく質です。
それを差し置いて、「玄米を食べると自然と笑顔になる」という書き方をするのは、いかがなものか?と感じます。
ちなみに、白米は、82mgです。
玄米でも白米でも、そんなに変わりません。
それでは、続けていきたいと思います。
粗食ダイエットには、注意点があるようです。
意外にリバウンドしやすい
このダイエットの基本は食生活にあります。そのため粗食を急にやめてしまうと、ダイエット前と同じ食事をしていても大きくリバウンドしてしまう場合があります。
せっかくゆるやかに痩せることができていたとしても、体重が元に戻るのにそれほど時間はかかりません。
やめる場合は急にやめるのではなく、様子を見ながら少しずつ食生活を変えていくことをおすすめします。
粗食は「粗末な食事」ではない
粗食は「粗末な食事」ではありません。昼にカップラーメン1個、夜は納豆ごはん1杯だけ、という食事は粗食ではありませんので注意!
食べないことが粗食ではありません。
大切なのは、栄養バランスのとれた食事を適度にとることです。
長期間取り組むダイエット
これは即効性のあるダイエット方法ではありません。
自分の体格や体調を軸に、どのような栄養が体に不足・過多しているのかを知り、それに合った食材と必要な量を考えて、日々のメニューを組み立て、食生活を改善していくのが基本。
体重が減った、ウエストが締まった、などの体型変化よりは、日々のお通じがよくなった、胃腸の調子がいいなど、体調変化を先に感じる人が多いようです。
例えば1ヶ月で5kg痩せたい! といった目的にはそぐわないダイエットだと考えましょう。
という注意点が挙げられています。
「以外にリバウンドしやすい」
とありますが、何と比較して「以外に」「しやすい」のでしょうか?
「粗食を急にやめてしまうと、ダイエット前と同じ食事をしていても、大きくリバウンドしてしまう場合がある」
このダイエット法には、続ける秘訣として、「息抜きの日には、おいしい和食を」という事で、高カロリーでも断続的に食べるのであれば、それほど問題にはならないとしています。
それにより、大きくリバウンドするのではないでしょうか?
またこの文章では、「ダイエット前と同じ食事」の部分に触れていません。
ダイエット前がどのような食生活であったか?というのは、とても大きな意味を持ちます。
なぜなら、その食生活は、「体重が増えやすい食事」という事の場合が多いからです。
同じような食生活をしていて、結果的に体重が増えてきたから、ダイエットに取り組む場合がほとんどだと感じます。
きっかけが病気であったり、健康診断であったり、服のサイズが大きくなったりという現実を目の当たりにした時というのが多いと思います。
ダイエットに繋がりやすいという粗食の食事から、もとの太りやすい食事をしたら、当然太ります。
当然のことだと感じますが、元の食事方法に言及せず、「粗食を止めたら、リバウンドしますよ」と不安感をあおるのは、少しずれています。
そして、これは「長期間取り組むダイエット法」のようです。
そもそも、「長期間」とは、どれくらいの期間を指すのでしょう?
1カ月でしょうか?
半年でしょうか?
1年以上でしょうか?
それとも、結果が出るまでずっとでしょうか?
これによって、意味合いやモチベーションが大きく変わります。
即効性という言葉の使い方も気になります。
どれくらいの期間を即効性としているのか?
即効性という表現も微妙ですが、長くなるので置いておきます。
「体重が減った、ウエストが締まった、などの体型変化よりは、日々のお通じがよくなった、胃腸の調子がいいなど、体調変化を先に感じる人が多いようです。」
先の文章で、「身体が引き締まりやすい」とされていましたが、少し矛盾を感じる表現です。
日々の状態で、胃腸に違和感を感じず、お通じも特に問題ない人で、一番の悩みが肥満という人は、「粗食ダイエット」を行なっても体調変化を感じる事が出来ないということでしょうか?
そもそも、これでお通じが良くなるとも考えにくいのですが。
周囲の他のダイエット法で、2キロやせた・5キロやせたと言われる中で、粗食ダイエットを行なう自分は、一番の焦点である体重変化変化を感じられないというのであれば、なかなかモチベーションは維持できないと感じますが、どうなのでしょうか?
次に、粗食は「粗末な食事」ではないと主張していますが、「粗食」という言葉には、定義があります。
「粗末な食物しかとらないこと。そういう食事。」
にもかかわらず、なぜ、「粗食」という言葉を用いているのでしょうか?
粗食でないのに粗食という表現をするのは、受け手に誤解を与えるのは当然だと思います。
粗食というのであれば、「ラーメンや納豆ご飯というのは、粗食ではない」と言ってますが、言葉の持つ意味としては矛盾しています。
食べない事が粗食では無いとしていますが、食べる事が前提では無かったのではないでしょうか?
食べない事は、粗食ではなく、無茶な断食であったり、自己流のファスティングを指すという事では無いでしょうか?
最後に、
「栄養バランスのとれた食事を適度に摂る」
という言葉に触れます。
当然のようにこの言葉が使われていますが、この文章の著者が言う、「栄養バランスのとれた」とは、いったいどういう食事なのでしょうか?
ここまでに使われた表現として、
腹八分目
たんぱく質を意識して摂る
旬の野菜をたっぷり
肉は基本的にとらない
低カロリーで健康的な食生活になる
著者が言う栄養バランスとは、いったい何でしょうか?
数字での表現が、全くありません。
腹八分目が、摂取カロリーの20%オフということなのかな?という「憶測」は出来ます。
ですが、それ以外の表現が、全くありません。
一日の総摂取カロリーの目安すらありません。
PFCバランスもありません。
憶測で言うなら、PFC比は「7:2:1」か「7:1:2」くらいでしょうか?
下手したら、「8:1:1」かもしれません。
基本的に糖質過多になると感じます。
玄米・野菜(根菜含む)・間食(糖質の多い野菜中心)となりますから
この食事内容では、栄養バランスはとれないと思います。
ここまでの表記で感じるのは、
「ずーーーーーーーーっと、イメージで話してますよね?」
という事のみです。
理論に裏打ちするような数字データも無く、「~という人が多いです」という書き方にも終始しています。
この内容で、「粗食ダイエットがおススメ!」と言われても、何の説得力も無いです。
「なかなか痩せられない、痩せるなら無理のない健康的なダイエットがしたい。」
この記事の冒頭で、このような表現をしていますが、このダイエットは、「なかなか痩せられない」ダイエットだと、記事の中でも紹介されています。
なぜ、そんな人におススメなのでしょうか?
「無理のない」ダイエットと表現していますが、では、逆に「無理なダイエット」とは、どういうものなのでしょうか?
例え不健康なイメージが付きまとうダイエット内容でも、目的と理論によっては、期間限定のような「管理下」の元では、有りだと思います。
私は管理栄養士ですから。
内容についての、メリット・デメリットを伝えた上で、それでもメリットが大きいと感じるのであれば、拒絶はしません。
実践するなら、もちろん指導下には置きますが。
(中にはアウトだと感じるものも、当然ありますが。)
私自身は、この粗食ダイエットの方が「無理な」ダイエット方法の部類に入りやすいと感じてしまいます。
理由は、「明確な数字で表現されたルールが無い」からです。
皆さんは、どのように感じるでしょうか?
次回が粗食についての最後になりそうです。