糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

玄米を食べると、自然と笑いがでる??

では、前回の続きです。

粗食をすると、精神的にも安定に繋がっていくという事について触れていきます。

 

「また個人差はもちろんありますが、食事を粗食にすると精神的に落ち着きやすいという傾向があるともいわれています。」

 

という一文があります。

もちろん存在すると言われる「個人差」ですが、どのような個人差なのでしょうか?

「個人差」があり、なおかつ、落ち着きやすい「傾向がある」というのであれば、どれくらいの割合がその効果を実感しているのでしょうか?

当然にというか、非常に残念ですが、数値データはありません。

どういう所から、このようなデータや傾向を掴んだのでしょうか?

憶測でしか語る事が出来ません。

他を調べてみると、タイトルのような言葉も出てきました。

 

 

何かちょっと本当かな?と思いがちなんですが、玄米などの粗食をしていると、なぜか笑いを引き出してくれる、という思わぬ効果があるそうなんです。


体調がよくなり、イライラしなくなり、自然と笑顔になって冗談を言うような状態になるんだそう。
でもこれも、最近の「キレる子供達」「キレる老人」などが、食品添加物や砂糖、肉のとりすぎなどの食生活に原因があるのでは、と言われて久しいですが、要するにその反対と思えばよいということですね。

 

 

という事のようです。

 

私の視点から話をすると、

「体調がよくなりイライラしなくなったら、冗談を言う状態になる」

というのは、とても強引な展開です。

 

笑う事によって、免疫力が上がるというのは知っています。

古くからも、「笑う門には福来る」という言葉もある様に、精神的にも良い傾向であると思います。

ですが、そのきっかけは色々あると思いますが、

「粗食 → 笑う → 健康」

の流れは、少し違うと感じます。

 

前回も話したように、粗食では満腹感を得られにくいです。

それにより満足感を得られないため、ストレスが生まれやすいと思います。

また、基本的には糖質中心となるため、血糖値乱高下と大量のインスリン放出により、精神は非常に不安定になります。

低血糖になると、アドレナリンが分泌されるため、感情は高ぶりやすくなります。

軽い攻撃性を持つ興奮状態です。

そんな状態で、「自然と笑いが出やすくなる」というのはおかしいです。

 

長期にわたる過剰な糖質摂取により、

心の病気(切れやすい、イライラする、うつ病パニック障害統合失調症発達障害ADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症学習障害認知症など)など)

が生まれやすくなります。

それぐらい、精神的に良くない影響を与えるのが糖質です。

 


上記の後半部分に触れます。

食品添加物や砂糖、肉のとりすぎなどの食生活に原因があるのでは、と言われて久しい」

とあります。

 

私は肉のとり過ぎで、精神的に悪い影響を与えたという話を聞いた事がありません。

牛肉には、人に幸せの感情を与える事につながる「トリプトファン」が多く含まれています。

トリプトファン」は、脳内の興奮物質を鎮める機能「セロトニン」を増やす栄養素です。

 


セロトニンは「幸せホルモン」とも言われており、脳神経や自律神経に働きかけ「明るくて幸せな気持ち」にしてくれます。
落ち込んでもすぐに気持ちを切り替えて前向きになれたり、不安を失くし強い精神力を作り出します。
また、寝つきをよくして朝スッキリと目覚める効果もあるのです。

 


という話はよく耳にしますし、何よりもビタミン群・鉄分・たんぱく質供給源として、積極的に摂取すべきと考えます。

値段は高いのが難点ですが。

 


少し話は変わって、砂糖の話をします。

粗食でも、砂糖の摂取、特に「上白糖」の摂取を避けるようにと主張しています。

それは良い事だと思います。

ですが、かわりに黒糖のようなものでミネラルも取りましょうとか、はちみつを使いましょうとかに話は続きます。

それだったら、上白糖を使ったお菓子はだめでも、黒糖を使ったお菓子ならOKという事なのでしょうか?

また、調味料にも触れますが、普通に「みりん・酒・麺つゆ・ポン酢」が使われます。

この中に、大量の砂糖・添加物(上白糖や異性化糖のような添加物)が使われていますが、それは良いのでしょうか?

安価なものなら、なおさらです。

 

「薄味で」と、小量しか使わないから大丈夫なのでしょうか?

でも、玄米だろうが、雑穀米だろうが、黒糖だろうが、主成分は糖質です。

100gあたりの計算ですが、糖質量は

白米36.8g
玄米34.2g

です。

そんなに変わりません。

 

「食物繊維が血糖値の上昇を緩やかにするから良い」

 

確かにするようです。

でも、その分、血糖値が低下させるのに時間がかかってますからね。

白米は一気に急上昇するのは間違いないですが、その分早く低下してます。

玄米は、比較的には低い所まで上昇していますが、急上昇する事にはかわりないです。

また、その分長時間血糖値が高い状態になります。

 

結局、糖質を摂ると、血糖値が上昇するというのは間違いないです。

これこそ個人差があるので、数値化しにくいものですが、一つ言えるのは、健常者(体重65キロ男性)で、糖質1gで、血糖値が3mg上昇します。

 

ご飯はだいたい150gくらいが茶わん一杯と言われます。

すると血糖値を165も上昇させます。

さらに糖質を多く含む、砂糖・みりん等の調味料、イモ・ゴボウ・ニンジンのような根菜類をセットで食べるなら、どれだけ上昇するでしょうか?

玄米や野菜に含まれる食物繊維で、血糖値上昇をどれだけカバーできるのでしょうか?

上白糖を直接摂取するのを避けて置き換えたところで、基本的には大量の糖質摂取に繋がっています。

さらに、たんぱく源の摂取は大豆中心であり、トリプトファンが大量に含まれる牛肉類は控える。

 

これで、どうして、「精神的に安定につながる」のでしょうか?

 


根拠が全くわかりません。

「個人差がある」とは、どのような個人差なのでしょうか?

「傾向がある」とは、どういったり根拠に基づく傾向なのでしょうか?

 


こういった情報を提出せずに、「良い」と主張するのはいかがなものか?

答えを出してくれてないので、疑惑は深まるばかりです。