糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

粗食ダイエットのメリットという主張について考える

話を続けていきます。

今回は、粗食ダイエットを行なう「メリット」として挙げられる内容について触れていきます。

 

繰り返しますが、「粗食ダイエットが悪い」とは言わないです。

ただ、ルールや基準が明確になっていないため、「ここはどうなっているんだ?」という検証部分が無いため、解説が必要ではないかと考えます。
粗食ダイエットを選択するときのメリット・デメリットがハッキリすれば、ダイエット実践者も選択しやすいと思うのではないかという部分を大事に、色々所感を記していきたいと思っているだけです。

 

「粗食をすればすべての問題が解決する」ような論調をしている事に危惧を抱いている」ため、そしてその解説内容がかなり曖昧であるため、語気が荒くなっているかもしれませんが、ご了承いただければ幸いです。

 

 

・メニューを考えるのが簡単!

粗食のベースは一汁一菜。玄米か雑穀米、味噌汁、おかず、の3つで構成されます。
冷蔵庫にある野菜をたっぷり入れた味噌汁を作ってしまえば、あとはごはんを炊いておかずを作るだけ。
さらに常備菜を利用すれば、その少ないメニューのうちいくつかを作り置きすることができます。
また粗食のベースとなる和食はレシピが複雑なものが少なく、調理時間も煮物などを除けば平均的にかなり短めです。
メニューを考える手間も、作る手間も実は少ないのです。


・消化しやすいメニューになる

基本的に野菜を中心に適切な量を食べていく粗食ダイエット。
味噌汁では火の通った野菜をたっぷり食べ、おかずも食べやすく調理しています。
そのため消化器官にかかる負担が自然に減ります。
消化にエネルギーを使わないため、各種内臓の負担も減り、臓器が活発化し、あわせて血液の循環もよくなっていきます。
そして血液の良好な循環は代謝機能の向上にもつながります。
代謝が上がるということは、痩せやすい体になる、ということ。
消化しやすい粗食ダイエットのメニューは、自然と痩せやすい体を作るのにぴったりだということになります。


・体が引き締まりやすい

粗食ダイエットは必要なものを必要なだけ食べる、というスタイルです。
余分な脂肪や糖は摂取しないため、体が徐々に引き締まっていきます。
すぐに効果が出るわけではありませんが、健康的に体重を落としていくことができます。
ゆっくり確実に、体に優しいダイエットをしたいという方にはぴったりの方法だといえます。

 


この3つが挙げられています。

 

まずメニューについてです。

確かに一汁一菜であれば、考える種類は少なくなります。
基本的におかずとみそ汁の具を選べばいいだけとなりますから。
調理時間で平均的にかなり短めとありますが、なぜ「煮物などを除けば」としたのか?
和食で煮物が占める割合は小さくないと思います。
あと、「煮物「など」」という表現もしていますが、煮物以外では何を指しているのでしょうか?

 

和食では、調理法として基本としては

「煮る・焼く・炒める・揚げる・蒸す」

があります。
あとは和え物とか酢の物もあります。

 

どれが該当するのでしょうか?
「平均的にかなり短めという時間」は何分くらいなのでしょうか?
どの範囲の中での平均なのでしょうか?

 

また、「常備菜を利用すれば」ともありますが、その常備菜を作るための時間も生じます。
常備菜を用意する事で「出すだけ」なので食事を提供するための準備時間は減ると思います。
ただ、常備菜の種類というのはそこまで多いのでしょうか?

私自身は、レパートリーは少ないですが(涙)。

同じような食材を使えるのであれば良いですが、好き嫌いが多かったり、献立に偏りがあると、かなり難しくなるのではないでしょうか?
常備菜の調理例のようなものは無いのでしょうか?


次に、「消化しやすいメニューになる」に触れます。

 

野菜中心という印象は受けます。
肉・魚を食べるのが第一優先ではないようですから。
火の通った野菜・食べやすく調理したおかずで、消化器官にかかる負担が減るという事なのですが、抜けている情報があります。

 

「食べやすく調理した」おかずというのは、何にでも当てはまるんじゃないかというツッコミは置いておきます。

 

野菜も「食物繊維」が多いため、消化に時間がかかるんじゃないか?というツッコミも置いておきます。

 

玄米です。

 

このダイエットでは、玄米・雑穀米がメインとなります。

白米よりも当然消化に時間を必要とします。

 

以前投稿しましたが、コメが胃に滞留する時間は、かなりのものです。

白米よりも消化に時間のかかる玄米を主食としていて、

「消化器官にかかる負担が減り、各種内臓の負担も減り、臓器が活発化し、あわせて血液の循環もよくなっていきます」

という話の持って行き方は、無茶です。

 

また、順番もおかしいです。

内臓負担が減り、臓器が活発化してから血流も良くなるのではないです。

「血流が良くなる事で必要な酸素や栄養が送られ、臓器が活発化するから、内臓の負担が減っていく」

はずです。

ガソリンを入れる前にエンジンがかかるわけがありません。

 

消化に時間がかかったら、当然内臓に負荷が大きくなります。

また、糖質中心の食事をしているため、血糖値は上昇します。

血糖値が上昇すると血流が悪くなるため、必要な酸素・栄養素は送られにくくなります。

その結果、臓器のポテンシャルは低下し、内臓の負担は増えていきますし、代謝も悪くなっていきます。

代謝が上がりにくいため、痩せにくい身体になっているのではないでしょうか?

 

あと、身体が引き締まりやすくなると主張していますが、それに関するデータも文中には無いですね。


「必要なものを必要なだけ食べる」というのであれば、積極的に肉・魚からタンパク源や栄養素を摂取する方が効率が良いです。
動物性たんぱくからでないと摂取出来ないものもありますから。

余分な脂肪や糖を摂取しないとありますが、余分な脂肪や糖という基準はどうなっているのでしょうか?

「目安として〇gまでならOK」という表記ではなく、個人差の大きい、各々が考えるイメージによる基準しかありません。

 

私だったら、たまには食べたくなりますが、糖質摂取自体が余分と感じます。

脂質は摂取カロリーの半分を占めてもいいとも思っているため、100g近く摂取しても特に余分とも思いません。

必要だと考えています。

また、必要なものを必要なだけしか食べないのに、息抜きの日で好きなものを食べたら、逆効果になるのでは無いのでしょうか?


身体が徐々に引き締まるそうですが、どの状態を「引き締まる」と指すのでしょうか?

BMIでいうならどうでしょうか?

体脂肪率でいうなら何%以下が引き締まる状態なんでしょうか?

すぐに効果は出ないが、ゆっくり確実にダイエットをするというのであれば、どれくらいの期間でこれだけの体重減少が見込めるという症例は無いのでしょうか?

健康的に体重を落とすという事は、月に2キロ程度という事でしょうか?

体に優しいダイエットとは、何を根拠にしているのでしょうか?


メリットがあると主張するのは良いですが、その根拠部分がとても曖昧なため、よく伝わってきません。


数字や実践例・検証結果も無いため、イメージによる印象操作としか受け取る事が出来ないのです。

本当にメリットがあるのかとさえ感じてしまう記事の内容なのが、残念です。


今回は、ここまで。

 

次回は、これ以外にも健康に良いという効果があるようなので、そこに触れたいと思います。