糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

サーチュイン遺伝子の活性化のために必要な事

長い長いテーマの続きです。
腹八分目とは何か?という事と、それが健康に良いという事についての疑問部分についての内容を、ただただ続けています。

さて、サーチュイン遺伝子についてです。

 

 

細胞の老化を制御するサーチュイン遺伝子は、カロリー制限を加えると活性化し、細胞の死滅を防ぐ機能が高まることが明らかになりました。

現在は、カロリー制御模倣物(薬)によって、サーチュインを活性化させる研究も進められています。

また、私たちの遺伝子のなかには、病気の発生を抑制する働きを持つものがありますが、ある年齢に達すると、その機能を停止してしまうものも少なくありません。
こうした遺伝子たちも、「カロリー制限」することによって、機能する期間を長くできると推定されました。

これにより、異常細胞の増殖が原因で発症するがんや、アルツハイマー病のリスクなど、加齢に伴う病気の発症を遅らせることができると考えられています。

 


確かに、この遺伝子により老化を防ぐというような話はよく耳にします。

某放送局の特番でも、2011年(かなり前ですね)に、4人の被験者がカロリー制限食で3週間過ごしただけで、この遺伝子が増えた(最大31%増)というような放送がされていました。


それでは、サーチュイン遺伝子が、どのようにして働くかについて触れたいと思います。

 


カロリー制限の内容は、これまでの食事よりもカロリーを30%カットすること。これをわずか3~7週間続けただけで、アンチエイジングと長寿を担うサーチュイン遺伝子が目覚め、働き始めたのです。

現代人は食べ物を十分すぎるほど摂っています。そうした状態にあると、サーチュイン遺伝子は眠っていて動きません。
しかし、飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化させてエネルギー効率を高めます。

こうしてサーチュイン遺伝子がONになると、まるで指揮者のように身体全体に働きかけて、100近くの老化要因を抑えるそうです。
その結果、肌、血管、脳など様々な器官が若く保たれ、活性酸素の発生を抑えることから、免疫力低下、動脈硬化高血糖、ぼけ、骨粗しょう症、脱毛や白髪等の老化症状を防ぎ改善し、美肌や健康に絶大な効果をもたらします。
結果、寿命も延びるということに。

 


という事のようです。
では、なぜカロリー制限で寿命が伸びるかのメカニズムとしての研究もされています。

 

 

1糖が少ない食事
カロリーを制限した食事をすると、体内に取り込まれる糖の量がすくなくなる

 

2NADの放出
摂取する糖が少ないと、細胞内のミトコンドリアは、体内の脂肪を使って、ATPを産生。
その過程で「NAD」という酸化還元酵素補酵素が出来る

 

サーチュイン遺伝子の活性化
NADが増えると、サーチュイン遺伝子が活性化し、サーチュインと呼ばれるたんぱく質ヒストン脱アセチル化酵素)が作られる

 

4ヒストンの脱アセチル化
サーチュインは、ヒストンの脱アセチル化作用によって、テロメアの保護などに寄与

テロメアとは、染色体末端部位で、細胞分裂のたびに短くなる。
テロメアの長さと老化の関連性が研究され、この長さを保つことが出来れば老化を抑制できるのではないか?と考えられている。
ヒストンのアセチル化を取り除く事ができれば、テロメアが短くなる事を防ぐことが出来るのではないかと考えられている。

 

5高効率なミトコンドリアの増加

遺伝子が活性化すると、ミトコンドリア合成に必要な遺伝子の働きも刺激され、新しいミトコンドリアが精製されるようになる。

老化の原因とも言われる活性酸素をあまり排泄する事なく、多くのATPを合成するようになる。

その結果、活性酸素による害が少なく、豊富なATPによりエネルギーも十分にあるため、寿命が伸びるのではないかと考えられている。

 

 

2番にあるように、サーチュイン遺伝子は、糖の摂取量によって、大きく影響を与えるようです。

 

1番では「カロリー制限をした食事」とあります。

カロリー制限をする事で、必然的に糖質の摂取量は少なくなります。

PFCバランスでは2:2:6が推奨されていますから、2500㎉から、30%offになると、1750㎉となります。
糖質量も、1500㎉分から1050㎉分へと減少します。

 

それにより特番では、サーチュイン遺伝子の数が、30%以上も増えたそうです。


という事は、

「遺伝子が働くのに、カロリー制限は本当に必要なのか?」

「糖質量の摂取量しだいによって、働くのかどうかが決まるのではないのだろうか?」
「摂取カロリーの増減には、影響しないのではないのだろうか?」
「糖質を制限した食事であれば、カロリーを制限しなくてもいいのではないか?」

という考え方も出来るのではないか?という疑問が生まれます。

 


この食事方法として一番に思いつくのは、糖質制限食です。

1500㎉分の糖質量はどれくらいかというと、ご飯換算で100gあたり168㎉なので、約900g(茶わん一杯150g計算なら4杯分)

糖質量は330gに相当します。(100gあたり36.6gの糖質量)

これから、1050㎉に減らすとなると、糖質量は、231gとなります。
約100gへらすだけで、30%もの遺伝子が増えるなら、普段から糖質の摂取制限をしている人のサーチュイン遺伝子の数は、どうなっているんでしょうか?


糖質制限食を実践する人が、若々しい姿を保っている人が多いという理由として、こういうことがあるからではないかという検証にもなると思います。

 


まだまだ続きます。