糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

脳に必要なのは糖質ではなく脂質である事の解説

前回の続きです。

 

前回は、糖質を脳に送り続ける事で、脳疾患・認知症等に繋がるので過剰摂取はいけない。摂取するなら総摂取カロリーの10%前後で十分という話をしました。

今回は、脂質の重要性についてです。

 

皆さんは、脳に必要な油として、何をイメージするでしょうか?

DHA
EPA

という言葉を聞いた事が無いでしょうか?

n-3系(現在はオメガ3という呼称の方が多くなってきていますが)の不飽和脂肪酸です。
イワシ・鯖・サンマといった青魚に多く含まれている脂質です。

 

摂取頻度を高める事で、

・悪玉コレステロール中性脂肪を減らす
血液サラサラ効果もあるので、そのサラサラ血液に乗って全身に栄養や酸素が行き渡る
・血小板の凝集を抑えたり、血管をしなやかにして血行を良くする

という事が言われています。

当然人間の体内では産生が出来ないため、食事から摂取しないといけません。
そのため、「必須脂肪酸」に含まれています。

 

また、脂質にはホルモンを作ったり、脂質消化に必要な胆汁酸の原料になったり、細胞膜の構成物質であるコレステロールを供給します。

もともと人間の体内には100~150gのコレステロールが存在しています。

その3割近くが脳で働き、脳の情報伝達を正確にするために重要な役割を担っています。

ホルモンを作る臓器の一つでもある副腎は、12g程度の重量ですが、体内でもっともコレステロールの含有率が高い割合を占めます。
この臓器で50種類以上のホルモンを作って体内のホルモンバランスを司っています。

 


コレステロールは取り過ぎたら血液ドロドロにという事がずっと言われてきました。

兎にコレステロールを与え続ける実験を行なったら動脈硬化を起こしたという実験にもならないものを発表したため、そんな悪いイメージがつきましたが、今では健常者であれば摂取制限はありません。

なぜなら、食事により摂取量が少なければ肝臓が不足分を作り出し、摂取量が多ければ肝臓は作らないという働きをするからです。

2015年に厚労省でもコレステロール値の摂取上限を撤廃しています。

ただ、イメージが先行しているため、指導者側は「気を付けた方がいい」「ほどほどに」というような言い方をする人も、未だにいるのは残念でなりません。

そんな人には、目の前でゆで玉子を4~5個食べてあげたいです。

 


脂質には「必須脂肪酸」というものがあるという話をしました。
また、たんぱく質にも「必須アミノ酸」という体内で合成する事が出来ないアミノ酸が存在します。
バリン・ロイシン・イソロイシン・・・というような成分です。

 

ですが糖質には、「必須糖質」「必須炭水化物」に類似する言葉はありません。

 

体内で合成出来るからです。

 

身体に必要な量を体内で合成出来るから、「必須」では無いのです。

でも主張する人は、色々な理由をこじつけて「必要」と論じてきます。

 

一つは、「米の文化」があると思います。

長い年月、米により生命を維持し、旨い米を追求し続けた結果でもあると思います。

米が神格化されているといってもいいかもしれません。

国が米の神格化を増長するような政策をとっているからかもしれません。

 

最初に言っておきますが、私は米の文化を否定する訳ではありませんので、勘違いしないでくださいね。

私も塩おにぎりを食べたりしますし、うどん・ラーメン・パスタも寿司も牛丼も好きです。

ただ、選択して食べていない事がほとんどであるというだけの事です。

食べる事によるメリットと、食べない事によるメリットで考えた時に、食べない方がメリットが大きいと考えているだけです。

ここでは、あくまでも「脳の唯一のエネルギー源は、ブドウ糖である」という事に関して、それは違うという内容を話しているだけです。

 


そのデメリット部分の大きな割合を占めるのですが、糖質がもたらす一番悪い部分といっても過言ではない短所があります。

 

「中毒性があること」

 

です。
炎症を促進するというのもありますが、それよりも悪だと考えます。

コカインよりも強い中毒性を持っています。

それが無くなると、イライラのような情緒不安定をもたらします。

空腹で怒りっぽくなったり、攻撃的になったりするのは、そのためです。

お腹が空いてイライラするのではなく、糖質が不足したからイライラすると考えています。

 

私は普段ほとんど糖質を摂ってませんが、空腹だからといってイライラしません。
目的のため(脂質減少の人体実験を行っています)に有効であると考えているので、「体脂肪減少に繋がっている」と認識しています。
別にイライラもしません。
その瞬間は「お腹が空いたなぁ。」とは思いますが、ちょっと我慢したら紛れます。

でも、糖質を普段から摂取している人は、なかなかそうはいきません。
空腹による低血糖に加えて、禁断症状によるイライラ・ストレスが襲ってくるからです。

それを防ぐためにも、「少しは取った方がいい」「糖質は重要」と主張するのではないかと思います。

程度はあると思っていますが、そういう人は軽度であれ、重度であれ、中毒症状に侵されている事に気づいていない人だとも考えています。
これは中毒症状ではなく、「米を食べなかったら、イライラするのが当然」と刷り込みをされている人だと感じています。


そういった人には、まず中毒状態から改善・解放してあげないといけませんが、米を断つ事が不利益になるのか、または食べなかったらどうなるか?の実体験も無いため聞く耳を持ちません。

食べるのが歴史的にも、文化的にも、習慣的にも日本人として正しいと思い込んでいるからです。

ですので、そのように主張しているのを見たり聞いたりしたら、「あ・・」と察してあげればいいと思います。

反論してもけんかになるだけでしょうから。

 

栄養を語る人の知識の程度を知る、一つの目安になるのではないかと考えています。

私も市販の著書やサイトの中で、この文言があるかどうかでいろいろな判断をしています。

 

 

次回は、

②「糖質は血糖値を上昇させ、たんぱく質はある程度、脂質は緩やかに上昇させる」

についてです。

 

今回は、ここまで。