生酵素の殺菌方法
前回は、少し時間に追われて途中で終わってしまいましたが、その続きです。
殺菌方法は、加熱処理が主流だったようですが、時代と共に変化が起きているようです。
いくつかあるようですが、今回は一例としてあげます。
微生物の殺菌方法として古くから行われている方法としては加熱殺菌があります。
これは加熱により微生物の菌体および酵素が変性し、生体活動が維持できなくなることが原因と考えられています。
殺菌温度は微生物により異なり、たとえば、酵母であれば60℃でも15分程度で死滅させることができるように多くの微生物では熱水や蒸気加熱などの沸騰水以下の温度で殺菌ができます。
しかし、芽胞という熱に強い種のようなものを作る種類の菌、たとえば納豆菌のようなものを殺菌しようと思うと、レトルトのような機器を用いて120℃以上で殺菌する必要があります。
また、乾燥状態ではほとんどの菌で温度に対する耐性が高くなります。
加熱殺菌方法はこのように広く使われている方法ですが、加熱による食品の品質低下はさけられません。
一方で熱を用いない殺菌方法もあり、特に包装材料や環境の殺菌に用いられています。
紫外線や放射線を用いた殺菌や、合成殺菌剤や銀などの無機系物質を用いた化学的殺菌法がこれにあたります。
このような非加熱殺菌の一つの手法として「高電圧パルス(high-voltage pulsed electric field)(PEF)による殺菌」が研究されています。
電気的殺菌として通電加熱という手法がありますが、これは交流が常時食品を流れ、直接抵抗として発熱させる加熱殺菌方法です。
一方PEFはマイクロ秒というごく短い時間に高いパルス電圧をかけるため、非加熱殺菌のメリットを得ることができます。
パルス電圧下では微生物が高電界にさらされて細胞膜の内側と外側に電位差を生じ、それが限界に達したときに膜の破壊が起こり、最終的に菌が死滅する(模式図)と考えられています。
食品への応用例としては液状食品中の微生物殺菌が考えられており、特にジュースでは風味、色等を大事にする製品ということもあって、試験が行われ効果を上げています。
高電圧をかける事で、電位差をかける事で、菌の膜を破壊して殺菌するという手法のようです。
おそらく、「生きている(活性がある)」とか、「高温で殺菌していない」「50℃以下を維持して製造」というような商品は、こういった方法で殺菌を行ない、商品化しているようです。
技術が進んでいるなと感じます。
ただ、生きていても、生きていなくても(おそらく活性があるかないか?の話をしているのでしょうが)50℃以下でも失活する酵素は当然ありますし、どれだけの種類と数の酵素が活性しているかまで公表している所はありません。
一部の酵素は残り、多くは失活しているかもしれません。逆に多くが残り、一部が失活しているかもしれません。
それはメーカーにしか分かりません。
悪意があれば、50℃を超えているかもしれませんが、それを超えていないと主張しているかもしれません。
疑ったらキリがありませんね。
さて、よく実験として使われているのが、片栗粉を用いた検証です。
片栗粉を用いて、酵素サプリメントの分解・消化力を検証。
片栗粉にお湯を混ぜてくず湯のように固まったものに、酵素を入れてどれだけ液体化させられるかを確かめます。
この実験でわかるのは、でんぷんを分解する=肥満の原因である糖質を分解する酵素(アミラーゼ)がきちんと入っているか?
酵素を入れたら、入れた途端片栗粉がサラサラになります。
そう、主張しています。
実際映像もあったりしたので見てみましたが、確かにサラサラになるようです。
凄いと思います。
ですが、考えてみて下さい。
でんぷんを分解する酵素があると考えられるのは分かりました。
でも、それはでんぷんが分解されただけであり、より吸収しやすい状態になっているだけです。
また、でんぷんを分解させる第一段階は、唾液アミラーゼです。
唾液に含まれるアミラーゼとリパーゼによって、でんぷんと脂肪は部分的に分解されていきます。
この実験は、口の中で行われる事を可視化したものだと私は捉えています。
商品を見てみると、カプセルであったり、錠剤であったりします。
つまり、胃の中で外側のコーティングが溶け、胃酸で消化・分解されながら、腸へと送られるものです。
胃酸でガッツリ変性されます。
口の中で働く酵素が、胃酸の強酸性に耐えられる訳がありません。
もともとが耐える必要がない酵素ですから。
さらに、分解されたからと言っても、体内で完全に消えてなくなるわけではありません。
「分解されて、最小単位になりやすくなるだけ」です。
そうなるとどうなるか?
より吸収率が上がり、血糖値上昇に繋がります。
血液がドロドロで血流も悪くなりやすくなり、運動等で消費されなければインスリンの働きで即脂肪として細胞に貯蔵されます。
よけいに肥満に繋がりやすくなるという訳ですね。
商品の信憑性を高めるため、このような検証が行われたようです。
東方医学という専門誌の第29巻に掲載された臨床試験結果。
糖尿病を罹患(りかん)し、合併症の治療を行っている患者さんに毒だし酵素を3か月間摂取してもらったところ、体重が約4.9%、血糖値が約21.1%、ヘモグロビンAlc値が約8.6%減少。
また、この臨床試験を受けた患者さんの94%は何らかの体調の改善が見られたと回答し、残りの6%の患者さんにも副作用はなかったと報告されています。
グラフの表示も見ましたが、専門誌がチェックできない状況のまま、私はこのブログを書いています。
どのような条件の下で行われたかは分かりませんので、これだけの情報では検証する事はできません。
この商品を摂取しながら、「医師・管理栄養士の管理のもとに行われる栄養指導」を実施しているでしょうから。
何もしていない人が、生活習慣を変えれば、体質が変化するのは当然です。
その方法論が明らかにされなければ、商品がどれだけの影響を与えたかを検証する事が出来ません。
医師も薬の処方を変えたかもしれませんからね。3カ月は長いですから。
あるサイトでは、「毒だし」というように表現していますが、そもそも、メーカーが主張している「毒だし」の「毒」とは、一体何を表現しているのでしょうか?
鈴鹿医療科学大学の研究チームが行った、マウスによる酵素の尿酸値抑制効果を分析するための実験。
毒だし酵素を与えたマウスと与えなかったマウスの尿酸値を比較してみると、与えたマウスの方が、約33%も尿酸値が低かったと発表されました。
これにより、毒だし酵素が血中の尿酸などを取り除いて排出する効果を持つことが分かりました。
どれくらいの数値からどれくらい低下したのかの表示はありません。
故意に数字を上げた物を低下させた(通常値に戻した)のかもしれません。
これだけの情報では、何もわかりません。
いずれにしても、数字上のデータが出そろっていないので、ハッキリと検証する事ができないですね。
メーカーは、あの手この手で都合の良い資料をそろえてきます。
受ける側も、知識がなければ(ベースとなる数字をしらなければ)、真に受けてしまい期待しすぎて失望するを繰り返す事になってしまいます。
日々勉強が大切ですね。