糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

最近の食品殺菌事情

前回の投稿で、「酵素は基本生きていない」としましたが、その理由について話をしていきます。


酵素は、炭水化物を消化するアミラーゼ、タンパク質を消化するプロテアーゼ、脂肪を消化するリパーゼなど様々な酵素があります。
これらは基本的に熱に弱いです。

酵素栄養学の第一人者であるエドワード・ハウエルという研究者が、1946年に専門書を発表しています。
生の食品の摂取を推奨しており、ローフーディズムの主要な根拠の一つとなっています。


彼の小麦の種を50粒12時間水に浸した後、様々な温度の水で1時間半浸し、発芽するかどうかという実験です。

温めなかった種は43粒発芽
47.7℃に浸した種は34粒発芽
50.0℃に浸した種は25粒発芽
52.2℃に浸した種は15粒発芽
53.8℃に浸した種は発芽しなかった
56.1℃に浸した種は発芽しなかった

というデータが残されています。

 

種が発芽する際に酵素が活性化し発芽をします。
通常は、酵素の働きを抑制する物質が働いて発芽しないのですが、発芽する条件を満たした場合、抑制物質は失脚して発芽します。

この実験では、酵素は48℃付近でも長く温めれば、徐々に破壊されていくことがわかります。

また、65℃で短時間加熱するときも酵素は破壊され、60~80℃で30分も加熱すれば、どんな酵素でも完全に破壊されるといいます。

 

別の栄養学者であるナターシャ・スタルヒン(元プロ野球選手ヴィクトル・スタルヒン投手の長女)氏は、酵素は45~48℃付近で活性度はピークに達し、その後急激に破壊されていき、60℃ではほぼ活性がなくなると発言しています。

 

どちらの発言も共通する部分は、酵素は48℃から破壊が始まるということです。

 


では、酵素は48℃~徐々に壊れ始め、60~80℃では30分も加熱すればどんな酵素でも完全に破壊されるとします。

これを踏まえて「酵素ドリンク」を見ていきます。

 

酵素ドリンクは、種別が清涼飲料水になります。

日本の規定で清涼飲料水は、

ph4.0未満のものは、その中心部の温度を65℃で10分間加熱
ph4.0以上のものは、その中心部の温度を85℃で30分間加熱
しなければならない


となっているので、酵素ドリンクの場合においても、最低でも65℃で10分間は加熱しなければいけません。
これは義務規定ですので、メーカーは全て、加熱殺菌を行なっていると発表しています。

ですので、出荷されているものはすでに加熱された状態のものなので、その多くの酵素は破壊されていると考えられます。

また、アメリカでは2003年にFDAが、消化酵素サプリメントの販売者に対し、科学的根拠がないとして警告を行っています。

 


こういった事を根拠として、「酵素は基本生きていない」と表現しました。

では最近、「生酵素」というものが出回っています。

これは、どういったものなのか??


次回に話したいと思います。