糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

腹を割って話そう

前回の続きです。

ある文章の抜粋部分でしたが、恐らくこれが糖質制限食の一般的なマイナス部分として良く挙げられるのではないかとも感じます。

長くなりそうだったので、3回に分けたので、未読の方は前回・前々回の分から読んだ方が、絶対わかりやすいです。

 

では、続きです。

 

「さらに、糖質制限ダイエットは
脱落者が多いため、
きちんとしたデータが出せない、ということの様です。」


私自身は3年目に突入しています。
第一人者であるドクターは、16年間実施しています。
脱落者が多いのは、間違った知識と思い込みで行った結果だと思います。
脱落者の食事データを教えて欲しいものです。
恐らくですが、糖質制限食で提唱しているPFCバランスから、かなりかけ離れたものだと感じます。

 

「無理なダイエットというのは続かないものなんですね。
だからこそ
きちんと「食べる」ことをないがしろにしては、
ダイエットはうまくいかないのです。」

 


しっかり満腹になっている上、特に自覚症状はありません。
仕事にもエネルギッシュに取り組めてますし、糖質を摂らないおかげで食後の眠気による作業効率低下も伴いません。
BMIも24前後をキープしています。
多分摂取カロリーをもう少し下げればBMIも22くらいになるとは思いますが、望んでいないので好きなものをしっかり食べています。
食べたいものをしっかり食べる事が出来るので、ないがしろにした事など無いのですが、それはどうなのでしょうか?

 

「血糖値を上げてはいけない糖尿病の患者でさえ、糖質制限は危険なのです。
それは血糖値が関係するのは、糖質だけではなく、脂質、タンパク質等のバランスも必要だからなのです。」


血糖値を上げないための療養食が、「糖質制限食」です。

糖尿病先進国であるアメリカでは、2013年に有益な治療方法の一つとして認められています。
日本でも、残念ながら認可はされていませんが、有効なため治療食として取り入れる病院は増加傾向です。
危険なのは、
「しっかりと理解をしないまま、血糖値を下げる薬を服用しながら、糖質制限食を実施する事で、薬の作用により低血糖症になり、最悪死に至る場合も有る」
という事です。

一般的なカロリーコントロールによる糖尿病食でも、


2006 年 1 月~2012 年 3月に国立国際医療研究センターに救急搬送された患者59,602名のうち,重症低血糖患者は530名(0.9%)を占め,糖尿病患者は367名,非糖尿病患者は 163 名であった.


約6年間の一つの病院で、重症低血糖患者(昏睡・意識障害等)で搬送された患者が530名。
年間約90件が急患として搬送されています。
これが全国の病院にあてはめたら、どれくらいの人が血糖値コントロールがうまくいかず、生命の危機にさらされたのでしょうか?

糖質制限食では、「薬をほぼ使用せずに、食事だけで血糖値をコントロールする」食事です。
これが危険な訳がありません。

実際、糖質制限食の第一人者であるドクターも、糖尿病を患っています。
でも、16年間続けても、血糖値はしっかりとコントロール出来て、若々しい姿を保たれています。

根拠が無いのでよくわかりませんが、どういった理由から危険というのでしょうか?

PFCバランスは、前記したように、3:6:1です。

 

また、 血糖値を直接上げるのは、糖質だけです。

以前はそのような理論も発表されましたが、2004年には否定されています。

どんなデータを参照にされて発言しているのでしょうか?

 

 

「要するに、
バランスよく食べよう!
ということに落ち着くというわけです。」


あなたが提唱するバランスとは、いったい何なのでしょうか??

落ち着かないので教えて欲しいです。

 


このような記事を見て思うのですが、

・自分の考えを押し通したいばかりに、長所に目を向けず他者のあら捜しをしていかに悪いかを宣伝するパターン

・相手の意見をよく検証しない、勉強不足なパターン(自分が今までやってきたことが一番と考えるパターンも含む)

 

という2つのパターンはよく見かけます。

今回検証した文章は、自分の「黄金バランス」というのを売り込みたがっているので、両方にあてはまります。

前者は、商品を売り込みたいが故に、他の健康法を否定する場合によく用いられています。

後者は、栄養士・管理栄養士になりたての人や、新しい事に挑戦しないベテラン栄養士・管理栄養士が陥りやすいパターンではないでしょうか?

今までの経験が正しいとする人たちに多いと思います。

 


知識は、日々変化していきます。

今は4~5年サイクルで、新しい情報に変わっていく時代です。

それなのにやり方は一つしかないとするのは、とても危険です。


相手を否定したら、ただの「宗教紛争」になってしまいます。

「あなたの考えも理解できるが、私は自分の知識・経験で対応します」

では、何の歩み寄りもありません。
下手したら、相手の考えを否定・拒絶する事(戦争)に繋がります。

 

私は、基本的には相手の考えを尊重し、互いに高めあっていこうというスタンスをとっています。

私の考えも、数年後には時代遅れになるかもしれないですし、全否定されるかもしれないからです。

ですので、相手の事を理解し、互いの長所を伸ばし、互いの短所を補っていく事は必要です。

そして何より、そういった選択肢が増える事で、利用する人の選択の幅が広がるという事が、一番大事だと思います。

 

 

自分が一番だ!と主張したいのは分かりますが、それであればそれに足る理由が必要です。

今回取り上げた文章内容では、それに足りないと感じます。

もっと具体的であり、偏向的でない話をしてくれなければ、せっかくの主張を高めあう事すらできません。

 


今回は、この文章を反面教師として取り上げさせてもらいました。

自身も、表現には気を付けていきたいものです。