糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

カロリー制限食が抱える課題

前回からの続きです。

あるサイトの主張から話を進めていきます。


ダイエットに効果的な食事メニューを紹介します。食事で絶対欠かせないのは当サイトでは何度も言っていますが1日3食かならず食べることです!

ポイントは、
・脂質の多い食品は食べないように
・炭水化物は適度に摂る
・朝大・夜小の原則を守る
・高たんぱくの食事を心がける

 

7時
朝食レシピ ご飯・鮭・納豆・味噌汁・サラダ(600㎉)

朝食は1日で最も大切な食事です。栄養価の高いおかずをしっかり食べるようにしましょう。
お米の量をいつもより少なくすることでカロリーを抑えることができるので、カロリー調整はお米でするようにします。

 

12時
昼食レシピ おにぎり・サラダ・わかめスープ(400㎉)

昼食はコンビニで手軽に買える食品を例としてるので味気ないレシピとなっていますが、お弁当を自炊できる人は、低カロリー料理でもっと栄養のあるおかずを揃えるのが理想的です。
外食する人は、和食でお米の量を半分残すようにします。
洋食はダメですよ!

 

19時
夕食レシピ 蕎麦(320㎉)

夕食はヘルシーな食品にしましょう。
蕎麦は理想的です。タンパク質も豊富で低カロリー。
炭水化物も含んでいますが、お米を食べないなら問題ない量です。
夕食はサラダも最適です。
ブロッコリーは腹持ちも良く栄養価も高いので、特におすすめの野菜です。

 

21時
レシピ プロテインドリンク(180㎉)

タンパク質を摂取するために飲んでおいたほうが効果的です。
プロテインダイエットで解説
プロテインを間食で飲む理由は食事回数を増やすダイエットテクニックです。

 


しっかり食べて、たった1500カロリー(何故か㎉ではなくカロリーと表記)

 


ダイエットの食事方法では『質』も重要なポイントとなります。
質とはそのカロリーの中身です。いくら摂取カロリーを抑えていたとしても脂質が多いものや炭水化物を多く食べていれば痩せるわけがありません。
正しい栄養バランスで食事を食べることがとても大切なのです。

ではどのような食事がダイエットに最適なのかというと、ポイントは3大栄養素のバランスです。
これは栄養学の基本であり、これを正しく理解しておかないとダイエットの成功はありえないと言っても過言でないくらい重要です。

では、3大栄養素の中で最も人間に必要な栄養素があります。タンパク質?炭水化物?それとも脂質?

答えは炭水化物なのです。
炭水化物は人間のエネルギー源であり、炭水化物が不足すれば人間の活動レベルも低下しますし、ダイエットに関しても逆効果をまねくのです。
そのくらい重要ってことですね。

 

 

以上です。

皆さんは、この記事を読んで、どう思われましたか?

 

初めてこのサイトを見た時、正直驚きました。

「PFC比率を目安に食事を摂ることが理想的な食事となるのです。」(15:25:60)

といいつつ、
炭水化物は適度に摂るが、いつもより減らす
高たんぱくの食事を心がけるのだが、おかずとして紹介されているのは朝食の鮭と納豆のみ
油も大事なはずだが、使われている形跡が無い(ドレッシング?)

そして、間食として寝る前にプロテインを摂取している事です。

 

私の考えとしては、健康補助食品のようなものを使わないで、普段の食習慣でダイエットを行なうというのをベースにしています。
このサイトではプロテイン摂取ありきという事なので、そもそもの考え方が異なるようですが。


後は、炭水化物の推し(注意事項)が凄いという事です。

PFCバランスが大事から始まって

炭水化物を多く食べていればやせる訳がない
炭水化物は適度に摂る
お米の量を少なくするとカロリーコントロールが出来る
お昼の外食の際はお米の量を半分減らす
そばもご飯一杯分の炭水化物を含むが、お米を食べなければ問題の無い量


いったい、どのように食べればいいと、このサイトでは言いたいのでしょうか?
取ってつけたように、論点がころころ変わっています。

 


ここが多くのカロリー制限食良いと主張するサイトが抱える問題点・課題点だと考えます。


カロリーの数値を抑えるのは、簡単です。
脂質・たんぱく質を多く含むと高くなるので、それを抑えればいいのです。
以前はそれでも良かったです。
ですが、

炭水化物に含まれる糖質が多ければ多い程、太りやすくなるというのが、認知されてきています。
たんぱく質も身体を作るためには必要だと認知されてきています。(脂質も大事なのですが)
となると、以前のようなPFCバランスが2:2:6では、整合性が取れなくなってきつつある訳です。

ましてや、このサイトが主張するように、たんぱく質が大事だといいつつ総カロリーの15%の割合しかないのも、問題点・課題点だと考えています。

 


少し話が変わりますが、「体重は月に2㎏程度を減らす事が健康的」と言われています。

私は、月に1㎏でも、5㎏でも、10㎏でも、その人が標準体重を下回っておらず、私の考える健康な状態であれば、問題無いと考えています。

私の考える健康な状態とは、「日々の生活において、何かの活動を行う際に、高いパフォーマンスを発揮できる状態」を指します。

 

また、ダイエットをスタートする状態によって大きく異なります。

体重が120㎏の人が、月に2㎏痩せる事が健康的なのでしょうか?
身長が170㎝であれば、BMI24だと体重70㎏が目安です。
その差は50㎏です。
それでも月2㎏の減量が健康的なのでしょうか?
その人が月に10㎏体重を減らして110㎏になるのは、不健康なのでしょうか?

 

よく、「2カ月で40㎏痩せた!」という表現をしているものも見かけますが、そもそもあなたはスタート時点は何キロだったんだ?という疑問を、私は最初に抱きます。

だいたい100㎏前後、またはオーバーしています。

その人は、不健康になったのでしょうか?

 

どのような体格というのを言及せず、「ダイエットするなら月に2㎏減らすのが健康的」というのが問題です。

「そんな訳ない、常識で考えろ」と言われるかもしれません。

でも、これ以外の論点を見つけられないのも現状です。

 

サイトでは、体重と摂取カロリー、それに基礎代謝量(あとは詳しく書かれて日々の活動量)が、前面に押し出されているのが大部分です。

体重が〇〇㎏以上の人は、月に〇キロまでOK
体脂肪率が〇%の人は、月に〇%まで落として大丈夫

という指標を、私は見た事がありません。

 

そもそも、「月に2㎏が健康的」と言い出したのは、誰でしょうか?

 

他に、「月に体重の5%まで」という表現もあります。
45㎏の人なら、2.25㎏。60㎏の人なら、3㎏なので、ほぼ変わらないです。
これも誰が言い出したのでしょうか?

この目安を守りながらだったら、リバウンドしないそうですが、私は、このやり方だからリスクは高くなると考えています。

体重だけでしか計算されていないという事も理由の一つです。

その人の、BMI値・体脂肪率・筋肉量・栄養状態が評価されないままで、ただ単純に「月に2㎏が健康的」という方が、不健全であり危険では無いでしょうか?

 

「カロリーを守っても痩せない」と主張したら、「それは自身にあっていないダイエット法だ」と、他己責任にする風潮も、問題だと考えています。

 

 

少し長くなりましたが、これで締めたいと思います。

この件に関しては、また書きたい事がたまってきたら、続ける事にします。