糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

目標塩分摂取量の目標値は、男性8g女性7gですか・・・。これ、足りますか?

今の日本人一日当たりの平均塩分摂取量は、「男性11.1g、女性9.4g」だそうです。(厚労省 平成25年度国民健康栄養調査結果の概要)

 

調べていくと、イギリスでは2003年から減塩プログラムを実施していて、「2003年から2011年にかけて食物中の食塩量は15%低下し、同期間に心疾患による死亡率は40%、脳卒中による死亡率は42%低下したと報告された」
とありました。

データとして出ている事も有り、2025年までに1日の総摂取量を3gに引き下げる予定だそうです。

 

このような事が推進されているからかどうかは分かりませんが、イギリス料理はご飯がおいしくない事で有名です。
サッカー選手でも、日本人がイギリスチームに移籍したら、「一番の悩みは、おいしい物がない事」と言わしめる程です。
一般的な飲食店でも、味付けがほとんどされていない肉が、ドンとテーブルに乗せられます。
そのままでは食べられるものではないので、テーブルには様々な調味料が準備されていて、それを大量にふりかけてから食べるという事が日常になっています。

 

これが精神的にも肉体的にも、健康な食事なのでしょうか?

私の知り合いは、イギリスでは食べれないから、時間が許されるならお金をかけてもいいから、飛行機で移動してオランダやフランスで食事をする事にしているようです。

 

日本でも、減塩運動が以前から行われています。

きっかけとなったのは、第二次大戦後のGHQのダール博士の調査結果のようです。

 

・1954年 GHQのダール博士は東北地方と九州地方を選んで、塩を消費する量と高血圧・死亡率についての調査実施
・結論「高血圧の発症は塩のとり過ぎが原因」とした
・鹿児島県の塩分平均摂取量14g 青森県28g 高血圧発症率 鹿児島県20% 青森県40%という部分のみを視野に入れた

 

調査の結果、このような事が分かり、「高血圧=塩のとり過ぎ」という結果を発表しました。

 

でも、考慮されるべきことが、何もされていません。

 

「豪雪地方と南国の気候という地理的条件について」です。

 

冬の長い期間の豪雪により屋外に出れない事での運動不足の影響が考えられます。
また、寒さそのものによる血管の収縮も考えられるのですが、考慮はありません。
ただ単純に、南と北の一部の地域の食塩摂取量についての調査で終わっているようです。

 

そのように憶測するのには、理由があります。

・高血圧の死亡率は東北地方全体でみると他の地域よりも多いが、東北地方の中で青森県が最も少ない

という事実があります。
これに関しては、「青森県がリンゴの産地のため、摂取機会が多く、カリウムが豊富なため血圧を下げる働きが生まれたのではないか」と、以降の別の調査で考察されているからです。


東北地方の人たちが多く塩を取っていたのにも、理由があります。

前回も話しましたが、

「当時は暖房が十分に発達しておらず、極寒であった冬を乗り越えるため、体温を上げる作用のある塩を多く摂取していた」
「保存食を作るには、多くの塩分を必要とするので、食事から自然と塩分を他地域よりは多く取っていた」

という事になるので、他の要因を何も考えずに、「減塩」を推奨するのは違和感を感じます。

 


これ以降、高血圧は食塩が影響しているという調査をしていない訳ではありません。

この事実を裏付けようと、色々な実験をしてきたようです。

私には、大きな反響と、事実の捻じ曲げ、ゴリ押しを行なったと感じた実験結果があるのですが、その話は次回にしたいと思います。