糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

負傷時の食事を考える

同物同治という言葉をご存知でしょうか?

 

中国の薬膳の考え方の一つで、体の中の不調な部分を治すには、調子の悪い場所と同じものを食べるのがいい、という考え方。
肝臓の悪いときには、牛、豚、鶏などの肝臓(レバー)を、胃の病気のときは胃(ガツ)を、心臓が悪いときは心臓(ハツ)を、腎臓疾患のときは腎臓(マメ)を食べると、回復に役立つということです。

 

私はある程度の信憑性を持っています。

体調不調やケガの時は、治癒のために必要な栄養素があります。

メインはたんぱく質の補充ですが、他にもビタミンやミネラルが必要です。
この考え方でよく例に挙げられるのは肝臓ですが、牛・豚・鳥の肝臓には、多くの栄養素が含まれています。
それを食べる事により、多くの肝臓を構成している成分を補う事が出来るので、特に不調を感じていなくても、月に3~4回は結構な量を食べるようにしています。
鉄分も多いので、貧血予防や造血作用に働いてほしいというのもあります。

 

ですが、私も「ある程度」とするように、修復するためには多くのたんぱく質と、ビタミンミネラルが必要です。
肝臓にはそれらの多くが含まれているので、有効だと考えて、食べる頻度を上げています。
ただ、それ以外の部位の栄養素は、やはり肝臓の含有量にはかなわないんですね。

また、例えば「頭痛がする」とか、「胃が痛む」という場合に、脳・胃部分を食べても、大きな改善には繋がらないと思います。
たんぱく質を補えるという部分では治癒に貢献できるかもしれませんが、ストレスによる可能性も大きいですしね。
あくまでも、薬膳の考え方のひとつなので、これで全てが解消できる訳でもないですし、もし効果が絶大なら、以前から情報が広まっていると思います。

なので私は少し胃腸が弱いですが、丸腸・大腸・ハラミのような箇所は、かなり口にする頻度は低いです。
治療・予防目的ではなく、嗜好で食べるような感じです。

好きなんですよ。食感も油の旨味も。


さて、本題に戻ります。

 

ケガをした時、早く治したいと考えますし、そうなるよう身体も治癒を行ないます。
治癒のためには栄養素が必要で、多くはたんぱく質ですが、それを使って元の状態に戻そうと働きます。

ですが、もともとの含有量(体が持っている筋肉量)が少ないと、治癒にかかる期間が長引いてしまいます。

身体にある余分なたんぱく質量が少ないと、必要な修復をスムーズに出来ないし、現在の生命維持に必要な量から少しずつ削って、修復に回さざるを得ないからです。

 

そのため、修復に必要な多くの栄養素を食べる事で補わないといけないです。
あわせて、修復を阻害するような栄養素は食べないようにしないと、修復スピードが落ちてしまうので、注意が必要です。

 

三大栄養素で言えば、たんぱく質です。

身体を構成する栄養素で、身体の約2割を占めます。
筋肉や内臓、血液や爪、髪や皮膚、骨などを作っているだけでなく、病気などに対する免疫抗体の原料、エネルギーやホルモン、ヘモグロビンなど、さまざまなカタチでカラダのなかに存在しています。
平時でも、多くのエネルギーを使って、細胞の新陳代謝で組織を正常な状態を維持する働きをしています。
それが負傷時(異常状態)となると、集中的にその修復に働いていきます。
そのため、平時に必要なたんぱく質に合わせて、修復に必要なたんぱく質の補充を行なわないと、修復に時間がかかるという事になる訳です。

ですので普段からも、そして負傷時も、たんぱく質を積極的に取り入れる事が重要になります。

 

他にも必要なのが、ビタミン・ミネラルです。

 

簡単に書きますが、
切り傷のような、皮膚表面を含む負傷の時は、亜鉛が有効と言われています。
味覚障害改善やセックスミネラルとしても有名ですが、皮膚の再生にも必要なミネラルだからです。
牡蠣や豚レバー、牛肉に多く含まれています。
筋肉や靭帯の損傷では、ビタミンCが有効です。
たんぱく質であるコラーゲンを作り出すのに必要となるからです。
骨折の場合は、カルシウム・リンはもちろんですが、さらにマグネシウムが必要です。
骨の構成は、上記のようなミネラルが約6~7割、コラーゲンが約2割、残りが水分となります。
この場合にも、ビタミンCが重要です。

 

一般的には、こういった栄養素の含有量が多いものを自分の状態に合わせて積極的に取り入れる事が出来れば、修復スピードも速くなると考えられています。

ですが、食べ合わせによっては、せっかく上記のものを食べても修復を阻害してしまうような働き(治癒を遅くする)を持つ栄養素もあるわけです。

 

それについては、次回に。