糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

リバウンドとは?

続きです。

前回は、三大栄養素の特徴を簡単に説明しました。

 

ここで一つの考え方を提案します。

 

「糖質は必ずしも必要な栄養素なのだろうか?」

という事です。

 

メリットが無いとは、勿論言いませんし、存在しなくていいという拒絶の姿勢を固持する訳でもないです。
今までの食文化を否定もしないですし、上記の考え方でも、「必ずしも」という限定的な範囲でという事を前提に考えをまとめようとしているだけなので、誤解の無いようにお願いしたいです。

 

そう考える理由は当然あります。

 

・糖質が無くても脂質でエネルギーをカバー出来る
・体脂肪を落とすなら、糖質があるとそちらから優先的に代謝されてからはじめて脂質が代謝されるようになるので、効率が悪い
・通常、血糖値が低下しても、上昇させるシステムが働くので支障はない(ホメオスタシスが働く)
・血糖値が急上昇しなければ、それを下げるためのインスリンを放出する事もなくなるので、すい臓への負担が少なくて済む
・糖質を摂取すると眠気を誘発するため、食後の活動に支障が生まれる

といったところでしょうか?

 

こういう理論を展開すると、反対意見も当然出てきます。

糖質は脳に必要
糖質が少なくなると体温が低下し、太りやすくなる
体内タンパク質が分解され疲労がたまりやすくなる
筋肉の分解を防ぐ
肝臓への負担が大きくなる
糖質を急激に減らすとダイエットに逆効果(リバウンド)

 

これくらいでしょうか?

では、順番に回答していきましょう。

今までの習慣とは異なる事なので、誤解が生まれやすいのは承知の上です。

 

まず、なぜかよく言われるのが、「ブドウ糖は脳の唯一の栄養素」という信仰にも近いキーワードです。

ですが、糖質を唯一のエネルギーとするのは赤血球であり、脳はブドウ糖と脂質(ケトン体)の両方を栄養素に出来ます。

朝食を抜くと成績にも左右するような声がありますが、それは炭水化物を食べないからではなく、カロリーが補えてないだけだと考えます。
おにぎりやサンドイッチのように携帯しやすい理由で炭水化物が手軽で有利なだけで、それがタンパク質でも何の問題も無いです。
朝食代わりにコンビニでおにぎりを買おうと、サラダチキンを買おうと、エネルギーを補充するという点では同じです。
ただ、糖質をとると眠気を誘発するので、サラダチキンの方が生産性としては、より効率的だと考えます。

 

糖質減少で体温低下・太りやすい体質へ

 

食事誘発性熱産生という言葉があります。
糖質で約6%、脂質で約4%、たんぱく質で約30%となります。
普通の食事でも、タンパク質を食べると体温が上昇してくるように、効率良く熱生産を行なってくれます。
極寒の地に住むエスキモーの食事をみても、肉食が中心となっています。
タンパク質を摂ることにより、体温を上昇させ、厳しい土地でも生活できる体質を作り上げています。
あと、砂糖は体温を低下させます。逆に塩は身体を温めます。
(塩に関する話は、後日別の形で話をしたいと考えてます。)

 

体内タンパク質が分解され疲労がたまりやすくなる
肝臓への負担が大きくなる
筋肉の分解を防ぐ

 

糖新生により、アミノ酸と乳酸と脂肪により糖質を生みだしています。
この状態がずっと続けば、体内のタンパク質(筋肉)を分解したりしてサルコペニアに繋がり、身体がダメになるという内容のようです。

ですが、食事により、脂質も・タンパク質も補充していきます。
目安として必要なカロリー摂取はそのままで、糖質の割合を減らし、その分脂質とタンパク質の摂取量を上昇させます。
これにより、食べて摂取したタンパク質をつかって糖新生を行なうので、自分の筋肉をそぎ落とす必要はないです。
糖新生の働きは、もともと肝臓が保有している役割です。
それを与えられたからと言って、肝臓の負担増と簡単につなげるのは、強引すぎではないでしょうか?
代謝の順番が、糖質→脂質→タンパク質となっているだけなので、糖質というエネルギーが無ければ、次の脂質をエネルギーとして使うだけの話だと考えています。
脂肪肝になるという声もありましたが、脂質自体がエネルギーとして消費する事になります。
脂質を中心として消費していくのに、なぜ蓄積されていくのでしょうか?
糖質と脂質の割合を高くした食事をしていれば、糖質から代謝され脂肪が代謝されにくくなるので、脂肪肝というのも形成されやすいと思いますが、皆さんはどう考えるでしょうか?


糖質を急激に減らすとダイエットに逆効果(リバウンド)


リバウンドというものの基準をどう置くかによって変わってくる言葉だと思います。

 

運動を摂りいれずに炭水化物ダイエット(?)を行なった後は、筋力低下や代謝低下の可能性がある。
普段の食事に急に戻すと、ホメオスタシスの働きで、リバウンドのリスク上昇

という一文がありました。

 

消費するメインのエネルギーが糖質から脂質に変わるのに、約1カ月かかります。
それくらいホメオスタシスの力は凄いです。
運動を取り入れようが、入れまいが、糖質制限をすれば、体重が落ちていきます。
糖質を摂取しない事で、体内の糖質と結びついている水分がどんどん無くなっていくからです。
5㎏前後落ちるかもしれません。
それから少しずつ体重が落ちていき、4週間前後経過したら、どんどん体重が落ちていきます。
ここら辺は個人差があるので、こういう傾向だという話にとどめておきます。
4週間前後経過後は、脂質を中心としたエネルギー消費となるので、体脂肪が代謝していく事により、体重も減少していきます。
これにより、体質が変化したという事が、実感できる状態になったという事です。

 

これから、どのような食習慣をしていくか?

この選択により、将来が大きく変わります。

 

もし、糖質を多くとる今までの食習慣になったら、一月後には糖質制限前の姿に戻ります。
またエネルギーの原料が脂質から糖質に変わるだけとなるからです。

もし、糖質を取らない生活をしたらどうなるか?
体脂肪がつきにくい身体を手に入れる事が出来、太りにくい体質になります。
仮に糖質を取ったとしても、ホメオスタシスの働きで、少しくらいでは脂質も蓄積されません。
週に一度の解放日(解禁日?)に、好きなものを食べてもいいよというのは、そういう理由です。

 

糖質を取らない習慣から、糖質を取り続ける習慣になったら、リバウンドは起こると私は考えますが、皆さんのリバウンドの位置づけは、どうなっているでしょうか?

 

リバウンド云々というよりも、糖質を大量にとればとるほど、太りやすい体質になるという事ではないかと考えています。