糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

健康食品で健康になれるのか?

健康食品は有益なものなのか?

 

trdschoolmm99.hatenablog.com


でも少しふれましたが、医薬品と健康食品では、表示の意味合いが変わります。

 

表示内容が、スタート時点(最高値)なのかゴール地点なのかという事です。

 

「プラセンタ1000mg」と表示があっても、それだけの材料を使って今から加熱処理と化して成分が変性していって少なくなりますよという場合と、完成した時点でそれだけの成分を保有してますよというのでは、天と地との差があります。

前者が健康食品の表示方法であり、後者が医薬品の表示方法です。

健康食品には、結果どれだけの成分が残っていますよという表示義務が無いので分かりません。
どのような加工をして、それがどれだけの成分を残存させるのか?
ビタミンCとあっても、全て国産という訳でもなく、中国を始めとした海外産の場合もあります。
質のいい材料を使っていても、悪い材料を使っていても、もちろん表示義務は無いです。

健康食品業界で、差別化をはかるには
・成分配合量
・吸収のされやすさ(溶けやすさ)
・価格
の3つが挙げられます。
あとは、アフターフォローでしょうか?

 

正直な話、私は健康食品に対して、あまり良いイメージを持っていません。

市販されている食材で、大部分の栄養素を身体に取り入れる事が出来るからです。

わざわざ健康食品を購入しなくても、それにかける費用を品質の良い食材に回せば、味覚から幸福感を得る事が出来るように、精神的な充実感にも繋がるからです。
後、製造過程が上記の通りなので、期待しているほどの栄養素を得る事が出来ないというイメージも持っているからです。

 

私が不信感を抱いているのは、

 

トクホマークがついているもの
酵素ドリンク

 

の2種ですが、もっと商品を知っていくうちに増えるかもしれません。

理由を簡単に言うと、トクホマークをつけるためには、それなりの臨床試験が必要なのですが、その試験を受けた人の身体状態です。
私の知る限りですが、脂肪吸収を抑える事を期待して、例えばBMI30を超えるような人を対象に、食後に対象となるお茶を飲むようにすると仮定します。
その条件にそって、毎日飲んで体重や体脂肪を減少させる働きがみられるのが最低条件だと思います。
結果が出たら、それはとても喜ばしい事です。

 

ですが、見落としてはいけない部分があります。
お茶の成分云々よりも、被験者の食生活です。

 

誤解を招くかもしれませんが、BMI30(35でもいいです)を超えるような人の食生活は、あまり好ましいものでない場合が多いです。
糖質たっぷり・間食もガンガン・ジュースごくごく。摂取カロリーも運動もしないのに3000㎉を超えているかもしれません。
そのような人が栄養の管理下に置かれたらどうなるか?
決して普段の食生活プラスお茶とは限りません。

 

あくまでも条件は、「食後にお茶を飲む」という事です。

そこに条件外の、食事制限を加えたらどうなるでしょうか?

 

単純に摂取カロリーが減少します。
摂取エネルギーも減少します。
間食も出来なくなります。
これに加えて、普段やらない運動までプラスされるかもしれません。
条件は、「食後にお茶を飲む」の一点です。
それ以外に何をやってもいいと解釈できます。
そんな医師・管理栄養士等の管理下におかれた生活をすごしたらどうなるか?

メーカーにとって好ましい結果が得られやすくなります。

 

これは他の健康食品にもあてはまります。
テレビの通販でも、「これだけ食べて、体重を〇〇キロ落とせました。」というような口上もありますが、
テロップを見て下さい。
「使用者の感想であり、個人差があります。」
という有名なものよりもさらに小さい文字で
「医師・管理栄養士の指導のもと」という文字も並んでいます。
いったいどういう指導をしているのか?内容を知りたいです。

 

酵素ドリンクもです。
活きているという文句を出していますが、酵素はタンパク質で、熱に弱いです。

60度を超えると変性します。成分が期待通りに働かなくなります(失活します)。
現在の日本の法律では、製品化するため80度の加熱処理を行ないます。
一部には、熱に強いものもあるようですが、大部分は変性してしまいます。

 

本当に活きているのでしょうか?

 

数あるメーカーに問い合わせした結果を載せているサイトをみましたが、
ほとんどが「無回答」でした。
(にもかかわらず、サイト主の主張は「ほら、活きているといってるじゃないですか」とか、支離滅裂な結論でした。(活きているという主張をしたメーカーは、わずかでした。))

 

中には真摯に取り組むメーカーもいるでしょうし、全てが悪質だと言うつもりはありません。
ただ、イメージ戦略が強く、身体に良いものを入れたから、健康にいいとアピールされても、素直に受け取れないのです。
先日、「乳酸菌入りの青汁」のCMが流れていて、乳酸菌をものすごくアピールしていましたが、コーティングされてなければ、大部分が胃酸で死滅します。

 

でも、使い方にもよるんですよね。
例えば亜鉛でも、貝類に含有量が多いですが、苦手な人もいます。
そういった方が栄養素を補うために摂取するのはいい事だと思うんですよね。
運動をしていて、より多くのエネルギーを摂取するために、栄養ゼリーを競技中に捕食するのも、目的を達成するのに必要であり、便利であるとも思います。

手軽に栄養濃度の高いものを手にする事が出来るのは、有益だと考えています。

健康食品に対して、イメージだけで判断して、目的を見失わないで欲しいです。

「単一の商品だけで健康になれる訳がない。」

これを前提として考えて、色々な事に対する判断をしてほしいなと思います。

 

健康食品に手を出すよりも、普段の食習慣を変えた方が、より早く好ましい結果を生みだす場合がほとんどです。
そういった知識を手に入れて欲しいですし、私たち栄養士・管理栄養士も、伝えていかないといけないです。
使命ですね。

 

食事から栄養素を得るという事の良い例を一つ挙げておきます。

 

心筋梗塞を患った方に対して、医者はビタミンEの摂取をすすめます。

心筋梗塞の再発防止に効果的だからです。
でも、薬で得ても効果がみられませんでした。
ところが食べ物から摂取すると、効果が見られます。

人工的に加工されたものよりは、自然のものが良いという事が言えると思います。