糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

完全食の続き(人類の食の歴史)

今回は、完全食についての続きの話をしたいと思います。

 

前回は、ペットフードの話をしました。

ペットを飼っている訳でもなので、経験則はお話しできませんが、前回言いたかった事は、人間にとって完全食(と言われていると表現しておきます)と同じ割合のものを、種別が異なるペットにも当てはめていいのか?

そして、そのペットに与えるペットフードに対して、「完全食」と言っていいのだろうか?という事です。

 

人類は、歴史上、穀物を生産できるようになった(稲作)事により、食料が長期保存できるようになったのは事実です。
それにより平均寿命も延び、人口も爆発的に増えていきました。
穀物の大量生産が出来るようになったからです。
これは紛れもない事実で、人類の功績と言っても過言ではないと思います。

ですが、食生活の激変(肉食 → 穀物食)に対して、身体の方が対応出来ていないのではないかと考えます。


長い歴史の中で、狩猟生活を送ってきた人類が、穀物中心の生活を送るようになりました。
人という基準をどこに置くかで変わりますが、

 

「人類が誕生したのは約700万年前といわれていて、それから1万年前までは狩猟採集時代が続いていました。
(中略)この700万年の間、私たちの祖先の身体は、糖質の少ない生活で生き残るように、少しずつ機能を整えていきました。
そうして出来上がったのが、今の人間の身体です。
(中略)
約700万年もかけて出来た、糖質を食べなくてもいい身体。
ほんの1万年前に始まった、糖質60%の食習慣。
この二つの間の矛盾が、今の生活習慣病の根本的な原因なのです。」
「江部康二の糖質制限革命」著 江部康二 より抜粋(P13~14)

 

期間で言えば、圧倒的に長い時間、タンパク質中心の食生活を営んできました。
そうやって生活してきたにもかかわらず、ある日突然、手軽に入手しやすい穀物(糖質)中心の生活に変えろといっても、身体が変化に追いつかないと思います。

それによって起きているのが、今の生活習慣病に繋がっているのではないかと考えます。

 

あと、時代の流れもあるでしょうね。

 

ここからは仮説ですが、
文明が発達してきて、肉体的な重労働をする機会が減ってきているのもあると思います。
第一次産業従事者が減ってきて、第三次産業従事者が増えてきたくらいに、生活習慣病も増加してきています。
1955年頃から生活習慣病(成人病)が顕著に現れてきて増加しつつある状況でした。
逆に、第一次産業従事者は1955年20%超(第二次産業も併せたら、60%弱)だが、
減少していき1995年には第一次二次合わせても40%を切っています。

身体を動かしていたからこそ、うまく糖質を代謝出来ていたが、その機会も減ってしまい、糖質を身体に蓄え過ぎてしまい、
罹患してしまう人の割合が増加しやすくなってしまったのではないかという仮説を立てています。
 
世の中ではファストフードが進出してきた頃でもあるので、脂質摂取頻度が増えたタイミングでもあるので、油の摂取は悪、カロリー制限食=善となったのかもしれません。

 

こういった食の欧米化を見直して、日本独自の食文化を見直していこうという動きも見られます。

 

日本食は素晴らしい文化だと思っています。
私も大好きですし、同時に欧米文化も素晴らしいと思っています。

ですが、今の栄養摂取バランス(PFCバランスで推奨されている割合:糖質60%を指します)が完全食とは思いません。

もし私に完全食の割合を提示しろというのなら、P:5前後 F:5前後 C:0.5前後と言います。

理由は、人間の構造割合に準じているからです。

 

 

完全食については、もう少しだけ続きます。