糖質制限食 栄養のあれこれ

糖質制限食や栄養に関する事について、管理栄養士・登録販売者の視点で考えていきます。

ダイエットで栄養士が出来る範囲はどこまでだろうか?

栄養士が関わることが出来るダイエットについて考えてみます。

 

そもそも、栄養士の役割とは何だろうか?

 

状況・周囲の環境等あると思うので様々だと思うが、根本的なものは何かと尋ねられたら、栄養士の方々はどう答えるだろうか?

 

 「食事を通じて、相手の望む体の状態に、健康的に変えていく事」

 

私はこう考えています。

日本栄養士会でも、

 

「栄養の指導」で、「健康」を守ります 。管理栄養士・栄養士は、栄養と食の専門職として、科学と専門的応用技術に基づく「栄養の指導」によって、人びとの健康を守り、向上させることを主な使命としており、健康づくりや生活習慣病の予防、重病化予防に取り組んでいます。

 

と記載されています。 考え方に大きなズレを感じなかったので安堵しました。

 

それでは「ダイエット」とは、どういう事でしょうか?

 

ウィキペディアでは

 

ダイエット(diet)とは、規定食という意味である。
人や動物や共同体が習慣的に摂る食品のこと。
健康のため、美容のため、肥満の防止(や解消)のため、食事を制限すること。

 

とありました。

ニコニコ大百科(仮)では、

 

ダイエット(Dieting)とは、健康や美容などを目的として食事の質や量を制限することであり、転じて日本では主に痩せるための運動や生活習慣の改善の意味を指す。(海外では、痩せるための運動はダイエットとは言わない)
なお、多くの人が「ダイエット=運動や食事制限によって痩せること」と解釈しているが、実はこれは誤解であって「運動や食事量を管理して、適正な体重にしていくこと」が「ダイエット」の本来の意味である。従って、痩せすぎの人が食事量を多くして体重を増やす行為も「ダイエット」と言う。

 

と、ありました。

 農林水産省のサイトでは、「正しいダイエット」として、

 

医師や管理栄養士等の指導を受けている方は、その指導に従って下さい。
 まずはあなたの肥満・やせの程度をチェックしましょう。 
体重を減らす必要がないと判定された場合には、ダイエットをする必要はありません。
 

と、ありました。

 

私はどう考えているかというと、

 

「ダイエットとは、食事を通じて、相手の望む身体の状態に、健康的に変えていく事」

 

です。

目的と同じです。

 

私が考える栄養士が行なうダイエットとは、食事療法・食習慣の改善を指します。

それだけで体重のコントロールが出来ますから。

でも、栄養士の授業にもありましたが、運動の分野があります。

「1日に30分の運動をしましょう」とか、「週23エクササイズの生活活動で3メッツ以上の活動を取り入れましょう」というものです。

他にも専門的な分野で、スポーツ栄養学というのもあります。

これらは筋力・持久力維持(健康増進)には必要だと思いますが、体重コントロールを目的とするなら、効果は小さいと感じています。

 

何度も言いますが、食事だけで体重コントロールは可能だからです。

 

ですが食事だけでなく、運動もするのがダイエットの基本というような感じで、当然のようにセットになっているのが現状です。

現在のカロリー制限食だけでは効果が出にくいからでしょうか?

 

私の考え方の中に、「健康的」という文字を加えています。

 

私の考える健康的とは、「日々の生活において、何かの活動を行う際に、高いパフォーマンスを発揮できる状態」を指します。

 

身体を変えたいと望んでも、それが細い身体を欲するための無茶な減量であったら、身体的・精神的疲労が蓄積しやすくなり、生活に支障が生まれやすくなります。

逆に筋肉を増量するためのビルドアップという肉体改造もありますが、それはスポーツ栄養という専門性を持つものであったり、ボディメイクの分野になっていくと思います。

 

「ダイエット」という言葉には、人によって様々な意味合いがあります。

ダイエットとは、こういうもの(状態)だ、こうしないといけないもの(行為)だ、という個人個人の勝手なイメージです。

「ダイエット」という言葉の定義をしっかりとしていければ、効率良く、効果的に求める結果に結びつけることが出来るのではないかと思います。

指導をする側・受ける側で、最終的なゴールが違っていれば、不幸なものになってしまいやすいです。

「イメージをしっかりと言語化し、食習慣の改善で健康的に体重をコントロールしていく。」

これが栄養士が出来る範囲だと考えます。

それ以上は、別の専門家に任せるか、タッグを組んで臨むかになると思います。

その方が、効率が良いからです。

某企業でも、栄養士とトレーナーがパーソナルに対応して、2か月でこんなに変わったというCMを流されてますよね。

 

ちなみに、ネットでも文献でも、言葉の定義があいまいな部分が多く、何をどうすればいいのか?というものが多数あります。

皆さんも感じたことは無いでしょうか?

「炭水化物はしっかりと取らないといけない。」という言葉があったと思えば、同じページの数行下に、「炭水化物をとりすぎてはいけない。」とあったりするし、「極端な制限はダメだ」とあっても、では具体的に最低〇〇gを取らないといけないのかという数値目標がなく、イメージで話をしている事もあります。

書いている人も、しっかりと検証されたものではなく、見聞きしたり、慣習的になっているものをそのまま引用しているんだろうなと感じるものも多く見受けられます。

 

個人的に思うのですが、周囲には多くの言葉が溢れていますが、同じ言葉でも、状況や環境によって、違う意味を持つ場合があります。

そこをはっきりさせない限りは、こういった言葉の持つ意味のズレというのは、無くならないし、修正をする事も出来ないと考えます。

 

「ダイエット」という言葉は、多くの人が興味を持つものです。

興味を持つ言葉だからこそ、個人個人で色々な情報を集めてしまい、それが口コミ・評判で周囲にリリースされているのが現状です。

それが信憑性に足るものかどうかは検証されずにです。

求める以上の結果が出れば「成功」となるし、効果があっても期待通りでなければ「失敗」と評価されます。

それも個人の感覚なので、全ての人に当てはまるかどうかは別問題です。

(そんなところから、単品ダイエットというものが生まれたのだと思いますし、今後も無くならないでしょう。)

そういった情報や経験が慣習として積み重なったものが、現在の「ダイエット」だと思っています。